10月14日付Globali「欧州連合(EU)、トランプ大統領がイラン核合意から離脱すれば米国は益々孤立すると苦言」で言及したとおり、米国の身勝手な行動によって、EUは益々中ロに接近することになり、米国が孤立することになると警告している。その動きは今週になって益々活発化しており、米国高官がイラン核合意の納得性を訴えれば、EU代表は訪米して米議会を説得すると表明している。一方、イラン側では、核合意を遵守しているのに、その枠組み以外のことで難癖つけるトランプ大統領を非難するだけでなく、裏で糸を引いているとして、イスラエル・サウジアラビアをも敵視する事態になっている。
10月16日付米
『ロイター通信米国版』:「米高官、トランプ大統領が言い出したイラン核合意離脱との懸念について否定に躍起」
米国のニッキ―・ヘイリィ国連大使は10月15日、ドナルド・トランプ大統領が10月13日にイラン核合意からの離脱をほのめかしたが、国連の核開発監視機関(IAEA)はイランの同合意遵守を確認していることから、米国としては同合意に留まらなければならないと表明した。
ただ、同大使は同時に、イラン核合意の対象範囲外のイランの活動-弾道ミサイル開発や発射実験等-については十分注視していく必要があるとも語った。...
全部読む
10月16日付米
『ロイター通信米国版』:「米高官、トランプ大統領が言い出したイラン核合意離脱との懸念について否定に躍起」
米国のニッキ―・ヘイリィ国連大使は10月15日、ドナルド・トランプ大統領が10月13日にイラン核合意からの離脱をほのめかしたが、国連の核開発監視機関(IAEA)はイランの同合意遵守を確認していることから、米国としては同合意に留まらなければならないと表明した。
ただ、同大使は同時に、イラン核合意の対象範囲外のイランの活動-弾道ミサイル開発や発射実験等-については十分注視していく必要があるとも語った。
一方、同じくイラン核合意離脱に反対の立場のレックス・ティラーソン国務長官は、イラン核合意はそのままとして、懸案となりつつあるイランの直近の活動について監視等を行う、新たな“別の合意”策定もあり得ると発言した。
なお、米同盟国のイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、現行のイラン核合意では、イランに10年内での核物質の貯蔵を認める内容となっているとした上で、北朝鮮の30倍もの経済力を持つイランに核開発の可能性を許すべきではなく、トランプ大統領は同合意を破棄すべきであると強調した。
同日付フランス『フランス24』オンラインニュース(『AFP通信』配信):「EUのモゲリーニ外交代表、トランプ大統領の発言に拘らずイラン核合意は守ると宣言」
EUのフェデリカ・モゲリーニ外務・安全保障政策代表は10月16日、11月初めに訪米して、イラン核合意から離脱するとのトランプ大統領の求めに応じないよう、米議会を説得すると表明した。
同代表は、“包括的合同行動計画(JCPOA、イラン核合意の正式名称)”を無効化することは、現下の最大の懸案である北朝鮮との非核化交渉に非常に悪い影響をもたらすことになると警告した。
なお、JCPOA締結当事国のEU内の英仏独の首脳は、安全保障上同合意は守るべきとの共同声明を発表した。また、中ロ両国も同合意を改めて支持すると表明している。
同日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『ロイター通信』配信):「EU、イラン核合意離脱を表明しているトランプ大統領をすっ飛ばして米議会に同合意遵守を直訴」
ルクセンブルクで開かれたEU加盟国外相会議において、国連安全保障理事会が支持しているイラン核合意から離脱することは、欧州・中東地域の安定を損なうだけでなく、目下対応している北朝鮮核問題への努力をないがしろにしかねないという見解で一致した。
なお、オランダや英国等、一部のEU加盟国が、イランの弾道ミサイル発射実験やシリア・イエメンへの介入に懸念を表明したが、今は2015年のイラン核合意の維持が重要としている。
一方、同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「イラン、もし米国がイラン核合意から離脱するならば独自方針を選択すると警告」
イランのイスラム諮問評議会(国会に相当)のアリー・ラーリージャーニー議長は10月16日、トランプ大統領のイラン核合意離脱との表明を受けて、もしそうなればイランは“独自の方針を選択・推進”していくことになり、米国は“後悔”することになろうと警告した。
なお、トランプ大統領発言後、イラン核合意に関わった多くの当事国が、イランが同合意を遵守していることを認めている。ロシア政府も、同合意に従うことを確認し、全関係国がそれを守るよう訴えると表明している。
また、同日付中国『環球時報』(『新華社通信』配信):「イラン、トランプ大統領を焚き付けているとイスラエルとサウジアラビアを非難」
イランのラーリージャーニー議長は、トランプ大統領がイラン核合意から離脱すると言い出したのは、イスラエルとサウジアラビアのロビーイストらによってそそのかされたものだと非難した。
同議長はまた、当該両国は、イランとの国際経済協力を妨害しようとして、同大統領のスピーチ原稿等に注文を付けているとも付言した。
なお、イランは、同大統領が非難している核開発とは、あくまで国民のための原子力発電計画のことであり、問題視されるものではないと主張している。
閉じる