米上院外交委員会は、トランプ大統領がアジア歴訪を終えるタイミングで14日、大統領の核攻撃権限に関する公聴会を開き議論を重ねた。現時点で、大統領には核攻撃を指示する権限がある。だが、議員や専門家からは、大統領は時間がない中で正しい判断ができるか、その判断に軍が従うべきか等が話し合われた。ボブ・コーカー委員長は、公聴会を開いたのは、与野党議員や国民から懸念の声が広がっているためであるが、法改正の意図はないという。今年8月トランプ氏は、北朝鮮が核兵器開発を続ければ、「世界が見たことのないような火と怒り」が放たれる等と発言。先月コーカー氏は「大統領は第三次世界大戦をしようとしている」と批判していた。
11月14日付英国
『BBC』は「上院委員会がトランプの核権限を懸念」との見出しで以下のように報道している。
上院外交委員会(共和党ボブ・コーカー委員長)は公聴会を開き大統領の核攻撃権限を議論した。前回この問題が国会で議論されたのは1976年3月。
大統領が無責任に核攻撃を行う可能性を懸念した議員がいる一方、大統領には判事の介入なしに意思決定をする権限があると主張する議員もいた。...
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11月14日付英国
『BBC』は「上院委員会がトランプの核権限を懸念」との見出しで以下のように報道している。
上院外交委員会(共和党ボブ・コーカー委員長)は公聴会を開き大統領の核攻撃権限を議論した。前回この問題が国会で議論されたのは1976年3月。
大統領が無責任に核攻撃を行う可能性を懸念した議員がいる一方、大統領には判事の介入なしに意思決定をする権限があると主張する議員もいた。
ベン・カーディン民主党議員は、大統領は「不安定で意思決定も行き当りばったりが多い。米国の国家安全の一環として大胆に核攻撃指令も出してしまいそうである」等とと懸念を示した。元戦略司令官の C.ロバート・ケラーは「軍は、大統領の核発射命令の合法性が確認されないならば、補佐官らと協議しこれに従うか決断するだろう」、「そのような事態が起きたら私なら“指令に従うことができない”と答えるだろう」と述べた。
続けて「そんなことをしたらどうなる?」とある議員が言うと、ケラー氏は「分からない」と答え公聴会の議員らは笑ったのだが、緊張感のある笑いだった。
ドューク大学の政治科学分野の専門家は、大統領命令を有効とするには「すべての議員の署名が必要だ。」と意見し、元防衛次官は「軍高官は大統領が危ういと判断すればそれを止めるだろう」と発言。民主党議員は、「軍が大統領の抑止力として信用できるとは思えない」とした。
公聴会での論点の一つに、“上院議員や一般市民が、大統領が数分(数秒)のうちに正しい判断ができるか信頼を置きかねている”点がある。
現時点では、軍や司法に大統領決定をチェックする時間はない。大統領は早急に強制権限を持って不測の事態に対処する権利がある。公聴会の終盤、議員や顧問らは“万一のために備え、核貯蔵庫の近代化をする”という点で一致した。
同日付
『ロイター通信』は次のように報道している。
北朝鮮との戦争が勃発する懸念が高まる中、火曜米上院は公聴会で大統領の核攻撃の権限に関し4半世紀ぶりに議論した。
外交委員会のコーカー上院(共和)委員長は、公聴会はトランプ氏を標的としたものでなく、誰にでもあてはまるものだと強調した。民主党議員は「大統領は不安定で怒りっぽい。意思決定は大胆で行き過ぎ」だと強い懸念を示した。一方、大統領の核攻撃権限に関する法改正を提案する議員もいたが、コーカー委員長はこれを却下、「今日は法的な解決方法を求めていない。今後数カ月のうちに有効とならないためだ」と述べた。更には「この公聴会での発言一つ一つが、北朝鮮により分析されるだろう。」という懸念も聞かれた。
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