国際エネルギー機関(IEA)は14日、米国は今後、シェールガスやシェールオイルの劇的な増産により、2020年代半ばまでに世界最大のLNG(液化天然ガス)輸出国となるとともに、石油の輸出を2015年に解禁したばかりであるが、2020年代後半までには、石油の輸出量が輸入量を上回るとの予測を示した。
IAEは、その世界エネルギー見通しの中で、米国は現在のエネルギー輸入国から、2025年までに、1日あたり3,000万バレルの石油とガスを生産することができる、世界市場における主要エネルギー産出国に成長するという劇的な変貌を予測している。
米国は2011年にロシアを抜いて、世界第1位の石油・ガス生産国となった。現在の1日あたり生産量は2,400万バレルであるが、生産量は今後さらに大きく増加すると見られる。...
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IAEは、その世界エネルギー見通しの中で、米国は現在のエネルギー輸入国から、2025年までに、1日あたり3,000万バレルの石油とガスを生産することができる、世界市場における主要エネルギー産出国に成長するという劇的な変貌を予測している。
米国は2011年にロシアを抜いて、世界第1位の石油・ガス生産国となった。現在の1日あたり生産量は2,400万バレルであるが、生産量は今後さらに大きく増加すると見られる。その背景には、シェールガスやシェールオイルの生産の大幅増による革命的な変化がある。
IAEは、米国のシェールオイルの生産は、2010年から2025年の間に1日あたり800万バレル生産量が増加すると予測しており、これは石油市場の歴史において、1国による増産の持続期間としては世界最高となる可能性があり、サウジアラビアの1966年から1981年の間の急激な増産に匹敵するものであるという。米国の増産は、同期間の世界の供給量増加分の80%を占めることになると説明している。
米国のシェール生産者は、2014年に1バレルあたり100ドルしていた原油価格が、2016年に26ドルと大幅に下落し、これを耐え忍ばねばならなかった。相場の下落により、多くの生産者が採算割れとなり、数万人の雇用が失われた。
しかし、価格破壊はもう1つの効果をもたらした。技術革新の波を起こすこととなり、シェール生産者の生産性や効率性の向上につながったのだ。「米国のシェールオイル業界は自己変革して逆風を避け、以前より機敏に動けるようになり、低価格に対しても対応できるようになった。」とIEAでは分析している。
IAEの予測はいくつかの仮定を置いている。石油燃料に依存しない車への順調な移行などであり、今日の条件が続くのであればば、米国は2040年になっても、石油輸入国のままであるとしている。
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