ドナルド・トランプ大統領が11月中旬に訪中した際、習近平(シー・チンピン)国家主席に対して、万引き容疑で逮捕・拘束されていた米大学生について特別な計らいを依頼したお蔭か、同学生らは無事に早期釈放された。一方、同時期に脱北者の家族が中国北東部で拘束されたことに対して、既に韓国に亡命していた脱北者自身が、習主席に対して、同家族の韓国亡命について特別な計らいを直訴した。しかし、中国としては、対米国への貸しになるどころか、米国の求めもあって対北朝鮮制裁強化を一貫せねばならない事情からか、こちらの要請は無下にした模様で、同家族らが既に北朝鮮に送還されたことが判明した。
11月28日付英
『BBCニュース』:「脱北者の妻子ら、亡命済みの父親の直訴むなしく本国に強制送還」
中国当局は11月初め、韓国に亡命済みの父親(李氏)から出されていた、その妻子ら一行の釈放・韓国への亡命申請について、一切耳を傾けずに北朝鮮に強制送還した。
李氏は、ドナルド・トランプ大統領の訪中の機会を捉えて、同大統領及び習近平国家主席に対して、特別な計らいを直訴したが、この願いは伝わらなかった模様である。...
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11月28日付英
『BBCニュース』:「脱北者の妻子ら、亡命済みの父親の直訴むなしく本国に強制送還」
中国当局は11月初め、韓国に亡命済みの父親(李氏)から出されていた、その妻子ら一行の釈放・韓国への亡命申請について、一切耳を傾けずに北朝鮮に強制送還した。
李氏は、ドナルド・トランプ大統領の訪中の機会を捉えて、同大統領及び習近平国家主席に対して、特別な計らいを直訴したが、この願いは伝わらなかった模様である。
なお、中国は対北朝鮮制裁を強化する一環で、脱北者の摘発にも力を入れている模様で、直近7~9月の間に既に少なくとも49人拘束した。これは、過去12ヵ月間に拘束した51人に比べて大幅増である。
11月29日付米『CNNニュース』:「脱北者の家族、中国で拘束された後北朝鮮に強制送還」
2015年に韓国亡命を果たしていた李泰源(イー・テウォン)氏は11月29日、『CNNニュース』のインタビューに答えて、今年10月に妻と4歳の息子の脱北を企てたが、中国北東部で拘束され、北朝鮮の新義州市(シヌイジュ、中国遼寧省丹東市と接する)当局に引き渡されたとの情報を得たと語った。
李氏は、妻子の他8名が中国当局に拘束されたとの情報を得て、トランプ大統領及び習国家主席に直訴した。しかし、韓国において脱北者救済に当っている牧師が得た情報によると、拘束された10人は既に本国に強制送還されてしまっているという。
中国当局の見解は、これらの北朝鮮人は難民ではなく“違法な密入国者”と見做しているという。
11月29日にソウルの中国大使館前でのデモに参加していた李氏によれば、妻ら成人は強制労働収容所に送られ、子供は仮に生存できたとしても、孤児院に収容されてしまうと訴えた。
なお、国連が得ている情報によると、北朝鮮では12万人の成人・子供が強制収容所に収監されているという。
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