13日に公表された国連が支援する調査によれば、2016年に発生した電化製品や電子機器の廃棄物である「電子ゴミ(e-waste)」の量は4,470万トンで、前回調査を実施した14年の約4,100万トンから8%増加した。今後も増加が予測され、低い回収・リサイクル率を高める等の取り組み強化が必要と指摘されている。
国連大学、国際電気通信組合、国際廃棄物協議会等による共同研究の調査報告書が13日に公表された。これによると、テレビ、冷蔵庫、携帯電話他、プラグやバッテリーのある電化製品や電子機器の廃棄物と定義されている「電子ゴミ(e-waste)」、4,470万トンが昨年廃棄され、1人当たりの量は前回より5%増え、6.1キロとなった。
2016年の電子ゴミ4,470万トンの重さは、エッフェル塔4,500基と同様とされている。...
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国連大学、国際電気通信組合、国際廃棄物協議会等による共同研究の調査報告書が13日に公表された。これによると、テレビ、冷蔵庫、携帯電話他、プラグやバッテリーのある電化製品や電子機器の廃棄物と定義されている「電子ゴミ(e-waste)」、4,470万トンが昨年廃棄され、1人当たりの量は前回より5%増え、6.1キロとなった。
2016年の電子ゴミ4,470万トンの重さは、エッフェル塔4,500基と同様とされている。この中に含まれていた原材料には、金、銀、銅、プラチナ、パラジウムなどの貴重な金属もあり、「都市鉱山」とも言われる。これらがもし正しくリサイクルできれば、550億ドル(約6兆2千億円)の価値があったという。しかし実際には、殆どの電子ゴミは、リサイクルが経済的に意味のある場合でも、埋め立て地のゴミにしかならず、僅か2割程度の890万トンしか回収・リサイクルされなかった。
世界の人口の3分の2を占める67カ国で、電子ゴミを処理するための法制を備えているにも関わらず、回収とリサイクルは進んでいない。例えばオーストラリア、ニュージーランドは住民あたりの電子ゴミの量が最も多く、1人あたり17.3キロあるが、一方で6%しか回収・リサイクルされていない。欧州は1人あたり16.6キロだが、回収率が最も高く35%であり、地域によって状況にバラツキがある。
同報告書では、電子ゴミは世界全体で2021年には5,220万トンに達すると見積もられている。中国は最も廃棄量が多く、2016年には720万トンだった。米国は630万トンで中国より少なかったが、大型の電化製品の市場が飽和状態にあるのが一因だ。日本の廃棄量は210万トンで、その内26%の55万トンが回収された。
報告書では、多くの人が、上位機種への買い替えのためや、修理するより新規購入の方が安い場合も多いため、電子機器を処分するとしている。こうした消費主義の傾向によって「捨てる社会」が広がることに対する論争や批判が高まっているとも指摘している。
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