既報どおり、ロバート・ミュラー特別検察官による捜査が進み、2016年米大統領選挙へのロシア介入疑惑でドナルド・トランプ陣営の4人が起訴されている。そうした中、米連邦捜査局(FBI)捜査官ら2人が、反トランプ対策について密かに打合せるメール交信記録が暴露された上、ふたりとも同捜査に関係していたことが判明した。そこでロシア介入疑惑で防戦一方だった共和党陣営も、更には、政府ぐるみの選挙戦関与の疑いと非難されていたロシア側も、反攻に転じる千載一遇の機会を得たとみられる。
12月14日付米
『Foxニュース』:「共和党、FBI捜査官らの反トランプのリスク対応の“保険”絡みの交信記録でマッケイブ副長官を攻撃」
共和党幹部は、トランプ大統領誕生のリスクに対応するための“保険政策(リスクヘッジ)”についてFBI捜査官らがメール交信していたことに関し、アンドリュー・マッケイブ副長官が承知していた疑いがあるとして、徹底的な調査が必要と訴え始めた。
この遣り取りは、FBI職員のピーター・スツォクとリサ・ペイジ間で行われた数百件に及ぶ交信記録で、12月12日に司法省が公表した。...
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12月14日付米
『Foxニュース』:「共和党、FBI捜査官らの反トランプのリスク対応の“保険”絡みの交信記録でマッケイブ副長官を攻撃」
共和党幹部は、トランプ大統領誕生のリスクに対応するための“保険政策(リスクヘッジ)”についてFBI捜査官らがメール交信していたことに関し、アンドリュー・マッケイブ副長官が承知していた疑いがあるとして、徹底的な調査が必要と訴え始めた。
この遣り取りは、FBI職員のピーター・スツォクとリサ・ペイジ間で行われた数百件に及ぶ交信記録で、12月12日に司法省が公表した。
そしてこの遣り取りの中で、アンドリュー・マッケイブ副長官の名前が言及されていることから、下院司法委員会のボブ・グッドラット委員長(バージニア州選出の共和党議員)は12月14日、
『Foxニュース』のインタビューに答えて、FBIの上層部の中にトランプ候補を当選させないような動きがあったのではないかと疑念を呈した。
スツォクは、防諜担当捜査官であり、米大統領選のロシア介入疑惑捜査を担当するロバート・ミュラー特別検察官の率いるチームに属しており、また、ペイジも一時期同様に属していた。上記交信記録が発見されるに至り、両職員とも同捜査チームからはずされている。
なお、司法省のロッド・ローゼンスタイン副長官は12月13日、下院司法委員会の公聴会で、自身が任命したミュラー特別検察官の捜査について、何ら偏向が認められるものではないと擁護していた。
同日付英
『Yahooニュース英国版』(
『ロイター通信』配信):「司法省幹部、トランプ陣営捜査の偏向問題についての共和党追及を却下」
司法省のローゼンスタイン副長官は12月13日、共和党主導の下院司法委員会の公聴会において、ミュラー特別検察官の米大統領選ロシア介入疑惑の捜査には、一切偏向は認められないと証言した。
共和党議員らは、昨年FBIのペイジ弁護士とスツォク捜査官の間で、反トランプを標榜するメール交信が300通余りもあったことが判明したため、FBIのミュラー特別検察官チームによる捜査、とりわけトランプ陣営の4人を起訴したことは、偏向捜査の疑いがあると追及したものである。
なお、ローゼンスタイン副長官は、余計な疑いを持たれないよう、ミュラー特別検察官の捜査チームからスツォク捜査官をはずしているとも言及した。
同日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)ニュース』:「ロシア、FBI捜査官の交信記録はトランプ候補の選挙戦勝利を妨害しようとする計画を暗示していると理解」
FBIの二人の捜査官らは、トランプ候補の大統領選勝利の場合のリスク等について、実に375通ものメールで遣り取りしていた。
この記録は、2016年の民主党候補選出に当り、ヒラリー・クリントン候補が国務長官だったときに、公務上の遣り取りをする際に私的メール・サーバーを使って行っていたとの疑いについて、司法省の首席監察官が調査している過程で判明したものである。
なお、
『CNNニュース』報道によれば、スツォク捜査官は、クリントン候補のメール疑惑捜査に加わっており、また、同候補の尋問にも同席していたという。
そして、ここで問題視されるのは、ジェームズ・コミー長官(当時)が、クリントン候補の過失について、罰則規程が適用される“重大な過失”ではなく、“極めて不注意”な行為に格下げする決定をしていたことである。
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