韓国の朝鮮日報紙は16日、北朝鮮のハッカー集団が4月以降数回にわたり、韓国の複数の仮想通貨取引所にサイバー攻撃を行い、約76億ウォンの仮想通貨を盗んだと報じた。韓国の情報機関である国家情報院が北朝鮮による犯行との証拠を固め、検察に提出したとしており、76億ウォンの仮想通貨は、現在では900億ウォン(約93億円)の価値があるという。朝鮮日報の報道を多くのメディアが伝えた。
韓国では6月に最大の取引所にサイバー攻撃があり、約3万6,000人分の個人情報が流出し、情報の消去と引き換えに60億ウォンが要求された。4月と9月には別の取引所から仮想通貨が盗まれる被害が生じた。
10月には、北朝鮮政府傘下のハッカー集団とされる「ラザルス」からと見られるマルウェア(悪意あるプログラム)を含むメールが送付され、10カ所ほどの取引所が狙われたが、韓国のインターネット振興院(KISA)によって阻止されたと、朝鮮日報は報じている。...
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韓国では6月に最大の取引所にサイバー攻撃があり、約3万6,000人分の個人情報が流出し、情報の消去と引き換えに60億ウォンが要求された。4月と9月には別の取引所から仮想通貨が盗まれる被害が生じた。
10月には、北朝鮮政府傘下のハッカー集団とされる「ラザルス」からと見られるマルウェア(悪意あるプログラム)を含むメールが送付され、10カ所ほどの取引所が狙われたが、韓国のインターネット振興院(KISA)によって阻止されたと、朝鮮日報は報じている。
国家情報院は、仮想通貨取引所への攻撃に使われたマルウェアは、2014年と2016年にそれぞれソニーピクチャーズとバングラデッシュ中央銀行に対し、ラザルスが攻撃を行った際のものと同じ方法で作られたことを確認したとされる。
米国のサイバー・セキュリティ会社のセキュアワークスは15日、ラザルスがビットコイン関係者の重要なシステム情報を盗む方法など、その攻撃の手口を明らかにした。ロンドンの仮想通貨会社の最高財務責任者の採用情報など、関心を持たれそうなメールを送り、受信者がリンク先の情報や添付ファイルにアクセスしようとクリックするとマルウェアに感染し、パソコンが外部から不正に操作されて、情報が盗まれてしまうという、いわゆる標的型メール攻撃だ。こうし手口は2016年頃から使われ、10月の攻撃でも確認された。
セキュアワークスによれば、北朝鮮は2013年には既にビットコインに興味を示しており、当時としては極めて稀な同国のインターネット・アドレスを使用するパソコンが調査のために使われていたという。最近の韓国の取引所への攻撃も北朝鮮の関与が疑われると指摘している。
北朝鮮は、国連の制裁により外貨獲得が困難になっており、新たな収入源として、値上がりの続くビットコインなどの仮想通貨に目を付けた可能性がある。
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