トランプ大統領は、余程の負けず嫌いか、お山の大将でいたいようである。北朝鮮が核弾頭ミサイル開発を進捗させたと聞けば、もっと威力のある米製核兵器を見せてやるとうそぶくし、軍事パレードを実施すれば、米軍はもっと大規模な軍事パレードを挙行すると言い出した。国防予算の不足が叫ばれる中、多額の費用が掛かるパレードは無駄遣いだと、政界やメディアが一斉に批判している。そして今度は、過激派リーダーのオサマ・ビン・ラディン容疑者を射殺したと述べている米海軍元特殊部隊員までも、“全く愚かな話”とこき下ろした。
2月8日付米
『ニューヨーク・デイリィ・ニュース』紙:「ビン・ラディン容疑者を殺害した元米兵がトランプ大統領の軍事パレード案を“たわ言”と酷評」
米海軍元特殊部隊員で、オサマ・ビン・ラディン容疑者を射殺したと主張しているロバート・オニール氏(41歳)が2月8日、トランプ大統領がワシントン特別区で実施しようとしている軍事パレードを、“発展途上国並みのたわ言”と酷評した。
トランプ大統領は先月、国防総省高官に具体的検討を指示したが、野党・民主党のみならず与党・共和党からも、北朝鮮や中国のような権威主義体制の国々と同類と見做されるとして、猛反発されている。...
全部読む
2月8日付米
『ニューヨーク・デイリィ・ニュース』紙:「ビン・ラディン容疑者を殺害した元米兵がトランプ大統領の軍事パレード案を“たわ言”と酷評」
米海軍元特殊部隊員で、オサマ・ビン・ラディン容疑者を射殺したと主張しているロバート・オニール氏(41歳)が2月8日、トランプ大統領がワシントン特別区で実施しようとしている軍事パレードを、“発展途上国並みのたわ言”と酷評した。
トランプ大統領は先月、国防総省高官に具体的検討を指示したが、野党・民主党のみならず与党・共和党からも、北朝鮮や中国のような権威主義体制の国々と同類と見做されるとして、猛反発されている。
オニール氏はツイッターで、トランプ大統領が批判するウラジーミル・プーチン大統領及びロシア政府に追従するものだと批判した。そして同氏は、2003年にバグダッド(イラク)侵攻したのも、米軍の戦力を誇示するだけの軍事パレードのようなものだったとも非難した。
なお、同氏は1年程前、“執行人:ビン・ラディン殺害の銃弾”という回顧録を発刊し、その中で、9.11米同時多発テロ首謀者のオサマ・ビン・ラディン容疑者を2011年5月2日に射殺した際の顛末につき詳述している。
ただ、秘密作戦を暴露することはタブーとされていることから、オニール氏の回顧録発刊には、他の米兵から厳しい批判の声が上がっている。
同日付米『ワシントン・ポスト』紙:「オサマ・ビン・ラディン容疑者を射殺した米海軍特殊部隊兵さえも、トランプ大統領の軍事パレード挙行案は良からぬ考えだと非難」
ロバート・ジェームズ・オニール氏は2014年、本紙記者に対して、2011年のオサマ・ビン・ラディン容疑者殺害の秘密作戦に参加した米海軍特殊部隊の一員で、同容疑者の妻の陰に隠れた同容疑者を最後に射殺したのは自身であると語っていた。
そのオニール氏が、他の退役軍人、政治家等と同様、トランプ大統領の軍事パレード挙行案をこき下ろした。
更に、元米空軍大佐のテッド・リウ下院議員(民主党、カリフォルニア州選出)は、多くの兵隊と最新鋭兵器などをパレードに投入することで数百万ドル(数億円)浪費することになると非難した。
また、元米海軍伍長のルーベン・ガレゴ下院議員(民主党、アリゾナ州選出)も、米国の軍事力が揺るぎないものであることは世界中の誰も否定はしないとした上で、にも拘らず軍事パレードを挙行するなど、同盟国や友好国からも嘲笑されるだけだと酷評した。
一方、トランプ氏の友人であるリンゼー・グラハム上院議員(共和党、サウス・カロライナ州選出)は2月7日、軍事パレードは安っぽい考えであるし、反って弱さを露呈するものだと批評した。
なお、ジム・マティス国防長官は2月8日、パレードの規模や費用など、いくつか考えられる案を持って、大統領と協議していく意向だと表明している。
同日付英『デイリィ・メール・オンライン』:「トランプ大統領の支持者で、オサマ・ビン・ラディン容疑者を射殺したとする米海軍元特殊部隊員も、トランプ氏の軍事パレード挙行案は“発展途上国がやる愚かな計画”と酷評」
オニール氏が、軍事パレードなど発展途上国の愚かな考えだと酷評したことに対して、フランスやロシアではよく行われていることだとのツイートがあった。これに対して同氏は、所詮フランスやロシアはその程度の国で、米国はパレードなどせずとも西側先進国のリーダーであることは間違いないことだと反論した。
同氏は、トランプ大統領の選挙戦で強い支持を表明しており、昨秋には同大統領と会食し、握手する姿が写真にも撮られている。
トランプ大統領は昨年7月訪仏した際、フランス革命記念日の軍事パレードを観覧し、米国でも実施したいと考えた模様である。
ただ、ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官も、2月6日の晩には、同大統領からパレード挙行の検討の指示が出たと一旦は認めたものの、共和党も含めた猛烈な批判を浴びたためか、2月7日には、まだ一切決定されたものではなく、依然検討段階の話だとトーンダウンしている。
閉じる