ドイツの中道左派で第2党の社会民主党(SPD)の党員投票の結果、中道右派で最大政党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との連立政権が継続されることが決定された。戦後最長となる6ヵ月の政治空白が漸く埋められることになり、4期目が期待されるアンゲル・メルケル首相としても大安堵であろう。そこで、女性首脳の政権が更に4年続くことから、ドイツ家族省高官が、国歌の中の歌詞もジェンダー・フリーの観点から変更すべきだと提案した。
3月4日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「父の国との歌詞はなくなる? 男女平等委員会委員長がドイツ国歌の歌詞変更を提案」
ドイツ家族省傘下の男女平等委員会のクリスティン・ローズ=モーリング委員長が3月4日、ジェンダー・フリーの観点から、ドイツ国歌にある“父の国”等の歌詞を変更したいと提案した。
ドイツの週刊『ビルド・アム・ソンタグ』紙(1956年創刊のドイツ最大の日曜紙)は3月4日、同委員長が、“父の国”を“祖国”に、“兄弟のように親愛な”を“勇敢な”と変更するよう求めたと報じた。...
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3月4日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「父の国との歌詞はなくなる? 男女平等委員会委員長がドイツ国歌の歌詞変更を提案」
ドイツ家族省傘下の男女平等委員会のクリスティン・ローズ=モーリング委員長が3月4日、ジェンダー・フリーの観点から、ドイツ国歌にある“父の国”等の歌詞を変更したいと提案した。
ドイツの週刊『ビルド・アム・ソンタグ』紙(1956年創刊のドイツ最大の日曜紙)は3月4日、同委員長が、“父の国”を“祖国”に、“兄弟のように親愛な”を“勇敢な”と変更するよう求めたと報じた。
なお、近年ではオーストリアとカナダが、同様の理由から、それぞれ国歌の一部歌詞を変更している。
3月5日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)ニュース』:「ドイツ国歌が間もなくジェンダー・フリーの歌詞に変更」
ドイツのアンゲラ・メルケル首相率いるCDUが、SPDとの連立政権を継続して担うことが確定したことから、このタイミングで、ローズ=モーリング男女平等委員会委員長が歌詞変更の提案を持ち出したものとみられる。
しかし、ラインラント=プファルツ州(ドイツ西南部、州都マインツ)のCDU代表のジュリア・クロックナー氏は、歌詞変更より女性にとってもっと重要な課題があるとツイートした。
また、右翼政党、ドイツのための選択肢(AdF)のゴーツ・フロミング氏は、“無遠慮で教養のない提案”だと切り捨てた。
なお、1922年に採用されたドイツ国歌は、第二次大戦後に1番の歌詞が全て削除されている。何故なら、そこにあった“ドイツは何よりも勝る”との歌詞が、ナチス・ドイツによる他国侵略のために利用されたと非難されたからである。
3月4日付ドイツ『DW(ドイツ通信)』:「ドイツ国歌はジェンダー・フリーの歌詞となる?」
ローズ=モーリング男女平等委員会委員長は、SPD所属の政治家であるが、ジェンダー・フリーの観点から、国歌の歌詞の変更と同様、新たに改編される内務省の方針にも沿うものとなると表明した。
第1党のCDU・CSUと連立を組むことになったSPDが、同委員長が所属する家族省の大臣職を得ることになり、また、“祖国”に大いに関心のあるCSUが内務省の大臣職を取ることから、同委員長の提案には追い風となるとみられる。
ただ、これに異議を申し立てる人の多くが、国歌の2番の歌詞の中に、ドイツの忠誠、ドイツワイン、ドイツの歌と共に、ドイツの女性が称賛されているとして、これ以上の歌詞の変更は不要と主張している。
なお、ジェンダー・フリーの観点から、オーストリアでは2012年に、また、カナダでも今年2月初め、それぞれ国歌の歌詞の一部が変更されている。
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