FDAは、昨年夏にこの提案を提出したが、たばこのニコチンを最大80%削減した場合の潜在的効果について報告書で新たに詳細を示した。たばこ産業を取り締まるFDAの権限は、世界を見ても例がなく、ニコチンを規制する試みは、喫煙関連死を減らすための世界的な取組みの第一歩となるだろう。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、米国の成人喫煙者は推定3780万人。規制の導入により、米国の成人喫煙率が現在の15%から2060年には1.4%にまで低下するとFDAは推計している。...
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FDAは、昨年夏にこの提案を提出したが、たばこのニコチンを最大80%削減した場合の潜在的効果について報告書で新たに詳細を示した。たばこ産業を取り締まるFDAの権限は、世界を見ても例がなく、ニコチンを規制する試みは、喫煙関連死を減らすための世界的な取組みの第一歩となるだろう。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、米国の成人喫煙者は推定3780万人。規制の導入により、米国の成人喫煙率が現在の15%から2060年には1.4%にまで低下するとFDAは推計している。また約500万人が規制を導入してから1年以内にたばこをやめるだろうと計算している。しかし、最も大きな効果は、若者がそもそも中毒になることを防げることだろう。
ニコチンを規制することで、「たばこを試す未来の世代の子どもたちが、お試しから中毒への命取りな状況に向かっていくことを防げる」とFDAタバコセンター責任者のミッチ・ツェラー氏は述べる。
FDAの提案のポイント:ニコチンは中毒性が高いが致死的なものではない。がん、心臓病、気管支炎を起こすのは、燃焼中のたばこやその他の化学物質を吸い込むからだ。何十年にもわたる喫煙防止対策により喫煙率が年々下がっているが、毎年48万人以上が亡くなる。
規制導入により、高ニコチン製品の闇市場の創設、たばこ中のニコチン含有量を減らす技術の実現可能性など、予期しない問題点もある。
フィリップ・モリス・インターナショナル社の広報担当者は「我々は既にFDAの包括的なニコチン規制計画に賛同しており、規制が導入されれば、たばこより害の少ない革新的な新製品の開発につながる」と述べた。
たばこ業界アナリスト、ボニー・ヘルゾグ氏は、「正に複雑でリスクを伴う」ため、FDAが実際に何らかの変更を課すまでには4~5年かかると見積もっている。
禁煙推進派は15日の措置を賞賛したが、FDAは規制を設ける期限を設定すべきだと述べた。「今日の行動は第一歩だが、FDAが結果として規制を迅速に策定し実施しなければ意味がない」とキャンペーン・フォー・タバコ・フリー・キッズのマシュー・マイヤーズは言う。
低ニコチンたばこは決して新しいアイデアではなく、1980年代~1990年代にかけてフィリップ・モリス社を含む米国企業が製品を発売したが、大した成功を収められなかった。ニコチンを除去するためには化学抽出及び交雑育種植物を含むいくつかの技術がある。
最近の複数の研究では、喫煙者が低ニコチンたばこに切り替えると喫煙量が減り禁煙しようとする可能性が高く、代わりに喫煙本数を増やしたりより深く吸入したりしないことが立証されている。
FDAは、禁煙できない、または禁煙しない喫煙者には、たばこ燃焼時の毒性副産物が発生することなくニコチンを送達する、FDAで審査された新たな製品の利用を想定している。FDAは現時点ではタバコの代わりとなる「リスクが低減された」代替品の認定はしていない。
2016年に電子タバコに関する権限を有するようになって以来、FDA委員長のゴットリーブ氏はメーカーが審査のため製品を提出する期限を2022年まで遅らせた。これは禁煙推進派によって大きく批判されたためで、FDAとメーカーが準備する時間が必要と考えたからである。
液状のニコチンを加熱して蒸気にする電子たばこが禁煙に役立つかどうかは不明である。
ゴットリーブ氏は、「電子たばこが代替品としての価値があるかどうかの判断はまだできない」としながらも、他の低リスク製品が代替品となる可能性はあると付け加えた。
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