王氏は北京の人民大会堂で投票結果が発表された後、二礼して習氏に歩み寄り握手を交わした。2970票のうち王氏への反対票は1票のみであった。王氏は、長年にわたって汚職や国内財政問題などの対応への中心的な役割を果たす「消防士」として知られているが、前職在任中、米国との経済協議を率いた副大統領としての経験もある。汚職摘発トップとして在任中は、現在も服役中の元公安部長の周永康氏を含む何十人もの上級官僚が投獄された。
安徽省中央部の代表団議員は、王氏の汚職摘発へのこれまでの努力を指摘し、この選挙は国民の意思に沿ったものだとロイター通信に語った。「我が国には、人民のために一歩踏み出して責任を負う彼のような人が必要である」と述べている。
先週11日、全人代は、国家主席・副主席の任期制限を撤廃する憲法改正案を可決した。つまり、習氏は永久に権力の座にとどまることができる。
外交官や関係筋よると、王氏が米中関係で重要な役割を担う可能性が高い。
香港のバプテスト大学の中国専門家、ジーン・ピエール・カベスタン氏は、「中国の副主席の地位は決して高いものではないが、それは誰が担当するかによって異なる」と語った。習氏との緊密な関係と国際的な経歴により、王氏は現職の李源潮氏と比較してかなりの影響力がある、と言う。
しかし、巧妙な貿易問題に関する米国との正式なやり取りを、例えば閣僚から副主席レベルに引き上げるには、米国の同意も必要となるだろう。王氏も英語が話せない。
中国は、米国との貿易戦争を防ごうとしており、ここ数週間で首席経済アドバイザーの劉鶴氏を含む公使をワシントンに送り込んでいる。一方、米トランプ大統領は、ITと通信分野を主なターゲットとする最大600億ドルの中国輸入品への関税を課すことを検討している。
7月に70歳を迎える王氏は、「68歳定年制」に従って昨年10月に5年間務めた政治局常務委員から身を引いたにもかかわらず、今年1月に湖南省の議員に選出された。全人代では、上級役に就いていないにもかかわらず、王氏は政治局常務委員会の7人の委員のすぐ隣に、実際の地位をはっきりと示す形で座り、注目を集めた。李克強首相が冒頭で政府報告を発表する間、他の議員が忙しそうに資料に目を通したりメモを取ったりする中、王氏はリラックスした姿勢で平然と前を見つめていた。主要な政治行事では、政治的メッセージを伝達するために座席や国家ニュース速報の掲載順など、綿密に計画されるのが慣例である。王氏は、他の代表団の熱狂的な拍手を浴びながら、最年少で7番目の政治局常務委員である韓正氏の直後に投票した。
王氏は、常務委員らが行うような議員集めのための他代表団訪問の報道はなく、全人代では比較的目立たない。しかし湖南省の経済情報通信委員会委員長は、先週ロイター通信に対し、王氏が李首相の報告書中の湖南省議員の議論の箇所に関与したと述べた。王氏は党幹部が10月の党大会の精神を十分に理解していたかに特に注目していたと言う。
17日、全人代は、中国の銀行や保険監督当局を統合し、中央銀行などの政策決定機関に新たな権限を与え、新たな省庁を創設する政府の再編計画も正式に承認した。
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