女性に対する暴力や差別が一躍スポットライトを浴びた昨年だったが、そんな中、フランスでは青少年によるアダルト動画の閲覧が、増加の一途をたどっていることが問題視されている。
15歳から17歳を対象としたIFOP(フランス世論研究所)調査によると、アダルト映画を見たことがある青少年は2013年には37%だったのに対し、2017年には51%(男子が63%、女子は37%の割合)だった。 4年の内にほぼ倍増した。また、好きな番組やアニメを定期的にダウンロードできるストリーミングサイトは、子供やティーンに人気が高いが、2016年に「Opinion Way」が行った調査によれば、実はそれらのサイトで、子供たちは刺激的なアダルト映画のポップアップにさらされており、早くて11歳頃からアダルト映画を意図せず見てしまうことが多々起こっているという。
このアダルト動画への子供たちによるアクセスの増加は、ネットの進化によるとIFOPディレクターのフランソワ・クラウス氏は説明している。 「ポルノへのアクセスはどんどんオンライン上でできるようになってきており、(子供達は)DVDやテレビではなくネットで視聴している」。
IFOP調査によると、動画へのアクセス方法トップはスマホ。男子の40%と女子の26%。2位は、ノートPC上からのアクセス、男子 35% 女子 20%。次に、デスクトップからは男子21%、女子8%。タブレットからは男子20%、女子6%。テレビで見たという男子は9%、女子6%と、最も低かった。最近のアダルト映画は、より簡単に、目立つことなくアクセスできるようになっており、お店に入ってビデオを購入するという行動を起こす必要がなくなっている、とクラウス氏はコメントしている。
そして子供たちは、その約45%が、ポルノ映画を通して性について学んだと回答。ポルノ映画が性教育に大きく影響していることが分かるが、その影響について、疑問の声を上げている専門家達がいる。そのうちの1人、産婦人科医であり、性に関する講演を各地の高校で行っているイスラエル・ニザン(Israël Nisand)氏は、オンラインポルノの若者たちへの破壊的影響を指摘している。子供達は事前知識なく、無防備なままアダルト映画にさらされており、愛情を育む性ではなく、かつ現実とかけ離れた性行為を見てしまっている。
そのため、性に関して歪んだ理解をしてしまっているという。特に最近の動画は、より激しく暴力的であり、男子たちの性に関する捉え方に影響を与えてしまっている。男子たちは、「なぜ成人映画を見るのか?」という質問に対し「女子は何が好きなのかを学ぶために見ている」と回答するが、現実の女の子たちが実際に求めているものとは違うことを学んでしまっている。また、女子たちは、成人映画に出てくる女性達の体と自分たちの体とを比較して自信を無くす場合や、同じような行為はできないと戸惑いを感じる傾向がある。
「ポルノ映画が女子と男子の間の関係を決める基準になることは残念なことだ。アダルト映画は、仕掛けがあり、編集やメイクが施されているフィクションであり、本当の人生ではない」と「家族とデジタル教育観測所(OPEN)」代表のトマ・ロメール(Thomas Rohmer)氏は述べている。
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