3月20日付仏
『フランス24』(AFP通信引用)は「マクロン氏、フランス語奨励策を発表」との見出しで以下のように報道している。
歴代大統領の中で突出して英語が堪能なマクロン大統領が、火曜の国際フランコフォニー・デー(フランス語圏の文化を祝う祭日)にあたり、母国語であるフランス語をアフリカの第一言語として「更には世界にまで」広めよるという方針を打ち出している。言語政策の主眼は若者の人口割合の高い発展途上の地であるアフリカの途上国での教育への投資である。...
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3月20日付仏
『フランス24』(AFP通信引用)は「マクロン氏、フランス語奨励策を発表」との見出しで以下のように報道している。
歴代大統領の中で突出して英語が堪能なマクロン大統領が、火曜の国際フランコフォニー・デー(フランス語圏の文化を祝う祭日)にあたり、母国語であるフランス語をアフリカの第一言語として「更には世界にまで」広めよるという方針を打ち出している。言語政策の主眼は若者の人口割合の高い発展途上の地であるアフリカの途上国での教育への投資である。
マクロン氏は海外メディアにもその英語能力を高く評価されているが、シラク元大統領等はEUの会合でフランス人が英語で話し始めた後退席したほど英語を敵対視していた。
仏外務省によると、フランス語の話者人口は、標準中国語、英語、スペイン語、アラビア語に次ぎ世界第5位。
国際フランコフォニー機関によると、2065年までには人口増加により10億人以上がフランス語圏に居住することになり、英語圏に次ぐ規模となる。アフリカでは、旧フランス領での人口増加を背景に、2050年までにフランス語が英語を抜くと予測されている。
11月アフリカのブルキナファソを訪問したマクロン氏は、フランス語を第一言語、そして数十年のうちには世界語に広める支援をしてほしいと話していた。その一方で、旧植民地でのフランス語の強要が反発を招かないよう慎重で、「アフリカに何かを強要しに来た世代ではない」、「フランス語はもはやフランスだけのものではない。いや、フランス以上にアフリカのものである」とも述べている。2月にセネガルを訪問した際には、「教育のためのグローバルパートナーシップ」への2億ユーロ(2.48億ドル)の投資を確約した。
しかし、アフリカの知識層は、このマクロン氏の壮大な言語策には懐疑的見方を示している。コンゴ共和国のフランス人作家でUCLA教授のアラン・マバンコウ氏は、マクロン氏からの言語施策の原案作成への依頼を断わったという。ジブチの作家で研究家のアブドゥラマン・ワベリも、「植民地支配の過去を消したいなら、もっと対話を重ねるべきである」としている。
同日付英国『ガーディアン』は「マクロン氏、フランス語を世界へ広める方針」との見出しで以下のように報道している。
フランスのマクロン大統領は、数百万ユーロを投資し、アフリカで使用される言語を英語でなくフランス語にする他、オンラインでのフランス語使用を増やし、欧州の各機関でのフランス語の教師を増やし、EU内での英語使用を減らしフランス語を世界へ広める方針を公表した。またマクロン氏は、フランス語は「自由の言語だ」と賞賛、フランス語教育を強化し、海外でのフランス語学校の生徒を2倍にする目標を示した。フランス語のインターネットでの使用は4番目。アマゾンでは3位だ。これでは十分でない。フランスの大学はフランス語の地位を向上させるよう、オンラインの文献やコースを増やすべきだとしている。
EU圏ではブレグジットを議論していた当時よりも英語が多用されており、英語がまかり通る中、フランス語の使用を広めたいという。フランス語は長くEU本部での共通語だったが、2004年に東欧諸国が加盟して以来英語が共通語になっている。
今後アフリカの人口増加でフランス語が拡大すると見られるが、マクロン氏のこの壮大な構想はアフリカを代表するフランス語作家や知識人から批判の的となっている。
マクロン氏は、歴代大統領と違い、英語は世界のビジネス分野での共通語だとし、首脳会談では常にスローガンを英語で表現してきた。しかし、フランス語を話すこともビジネスの場でフランスの「価値感」を際立たせる為には有効で、フランス語を商業語にするよう働きかけ続けるとの意向を示している。
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