米国人は1日に15万トン近くの食品を廃棄しているとの研究結果が18日、科学誌の「プロス・ワン(PLOS ONE)」に発表された。国民1人当たりにすると約422グラムとなる。最も多く廃棄されている食品は、野菜や果物などの青果物であり、それらを多用した健康的で質の高い食生活を送ると、廃棄物も増えることが判明した。
研究によると、最終的に廃棄される食物を栽培するために毎年使用される土地は、全米で3,000万エーカー(約12万平方キロ)にもなり、これは米国の農地全体の7%に相当する。また約4.2兆ガロン(約16兆リットル)の灌漑用水も、無駄になっているという。
廃棄量が最も多いのは野菜や果物の青果物で、食品廃棄物全体に占める割合は39%だった。これに乳製品が17%で続き、肉類が14%、穀類が12%となっている。...
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研究によると、最終的に廃棄される食物を栽培するために毎年使用される土地は、全米で3,000万エーカー(約12万平方キロ)にもなり、これは米国の農地全体の7%に相当する。また約4.2兆ガロン(約16兆リットル)の灌漑用水も、無駄になっているという。
廃棄量が最も多いのは野菜や果物の青果物で、食品廃棄物全体に占める割合は39%だった。これに乳製品が17%で続き、肉類が14%、穀類が12%となっている。廃棄される量の少ないものは、塩気のあるスナック菓子、食卓油、卵料理、チョコレートやキャンディー類、ソフトドリンクなどだった。
研究論文の共同執筆者でバーモント大学のメレディス・ナイルズ准教授は、「質の高い食事には、野菜や果物が多く使われており、それらが他の食物より多く廃棄されている。」と指摘した。「健康的な食生活は重要であり、多くの利点があるが、こうした食生活を追求する際には、食品廃棄物のことをもっと意識しなければならない。」と述べている。
本研究は、2007年~2014年の食品廃棄物に関する政府のデータや調査に基づいているが、食品廃棄物の量は、米国人の1日平均の摂取カロリーの約30%に相当するという。また報告書は、環境や農家への代償は非常に大きいと警告しており、「食品廃棄物は、年間7億8,000万ポンド(約35万トン)の農薬、18億ポンド(約82万トン)の窒素肥料を使って生産される収穫物に当たる。」と説明している。
論文ではさらに、廃棄物を削減する方法として、野菜や果物の適切な準備・保存方法を消費者に教育する、賞味期限を見直す、訳ありの野菜を買うよう奨励する、廃棄物を抑制するための取り組みを政府の持続可能性プログラムに組み込むなどが挙げられている。
論文の筆頭執筆者である米農務省農業研究局のザック・コンラッド氏は「食品廃棄物は、様々なレベルで起きている問題だ。増大する世界人口のニーズを満たす持続可能な方法を見出すために、それらを全体的に見ることがますます重要になる。」と述べた。
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