6月2日付Globali「中国包囲網? 米国防総省高官が南シナ海の中国人工島の破壊は可能と言えば、インドも中国による軍事拠点化を非難」で触れたとおり、国境問題等で何かと中国と対立するインドも、中国の軍事拠点化継続推進をあからさまに批判して、米国に追随した。そして、直近5年間の経済成長率(末尾参照)で中国を上回りつつあるインドは、中国主導で開催された“上海協力機構(SCO)”首脳会議において、中国の向こうを張って、中央アジア諸国との貿易増大を宣言しただけでなく、中国の推す“一帯一路経済圏構想(OBOR)”を支援するSCOサミット宣言に加わることを拒否している。
6月12日付
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「インド、SCOサミットで中央アジア進出を宣言」
先週、中国東岸の青島(チンタオ)で開催されたSCO年次総会は、昨年のアスタナ(カザフスタン)総会で正式加盟国として承認されたインド・パキスタンが、オブザーバーではなく加盟国として初めて参加するサミットであった。
今回のSCOサミットには、中国・ロシア・インド・パキスタン・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタンの加盟国8ヵ国、及びアフガニスタン・イラン・モンゴル・ベラルーシのオブザーバー4ヵ国の首脳が集うものであった。...
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6月12日付
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「インド、SCOサミットで中央アジア進出を宣言」
先週、中国東岸の青島(チンタオ)で開催されたSCO年次総会は、昨年のアスタナ(カザフスタン)総会で正式加盟国として承認されたインド・パキスタンが、オブザーバーではなく加盟国として初めて参加するサミットであった。
今回のSCOサミットには、中国・ロシア・インド・パキスタン・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタンの加盟国8ヵ国、及びアフガニスタン・イラン・モンゴル・ベラルーシのオブザーバー4ヵ国の首脳が集うものであった。
そしてそのSCOサミットにおいて、インドのナレンドラ・モディ首相が圧倒的な存在感を現したものとみられる。
すなわち、同首相はまず、強い経済成長を背景に、SCOメンバー国を含めた中央アジアへの進出-貿易増大、人的交流の拡大等をぶち上げた。
同首相は、この考えを示す標語として、以下のように“SECURE”を掲げた-S:全国民の安全確保、E:全ての国の経済発展、C:地域連携、U:全関係者の一体化、R:主権及び領土保全の尊重、E:環境保護。
この一環として同首相は、ニューデリーでのSCOメンバー国参加の国際食料会議、及び仏教伝来博覧会の開催を予定している旨披露した。
更に同首相は、正式加盟の他7ヵ国が、中国の推すOBORについてSCOが協力して支援していくとのSCOサミット共同宣言に加わることを拒んだ。
同首相によると、OBORで地域連携拡大及び経済発展につながることを期待するも、それはあくまで関係国の主権・領土保全を尊重する前提であるとして、現行のOBORがインドにとって一部不利益をもたらしているからだと強調した。
ただ、SCOサミットでのモディ首相のアピールは別にして、昨今の中印間経済連携はかなり親密になりつつある。
すなわち、インド側は、中国銀行(中国第3の商業銀行)のムンバイ支店開設を許可し、中国側は、インド製薬会社の中国市場進出及びインド産長粒米の輸入を認めている。
また、習近平(シー・チンピン)国家主席は、モディ首相の求めに応じて、2019年に訪印する予定である。
(参考)国際通貨基金(IMF)データによるインド・中国の直近のGDP成長率:
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2014
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2015
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2016
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2017
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2018(4月まで)
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インド
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7.41%
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8.16%
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7.11%
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6.74%
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7.36%
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中国
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7.3%
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6.9%
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6.72%
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6.86%
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6.56%
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