トランプ米大統領は20日、北朝鮮の人権状況を改善することを目的とし、米大統領に対し、改善のための外交政策の採用や、外国政府・国際機関などとの直接交渉を求めることなどを定めた北朝鮮人権法を、2022年まで延長する法案に署名した。
北朝鮮人権法は、ジョージ・W・ブッシュ政権時代の2004年に成立したものであり、日本人拉致問題の解決などを含む北朝鮮の人権状況が改善しない限り、人道支援を除く同国への援助を禁止している。
トランプ大統領は、ホワイトハウスが発表した声明で、「今日、私は北朝鮮人権法に署名した。この法律は、朝鮮民主主義人民共和国内で、人権と自由を推進することを意図したものである。」と述べた。
米政府は金正恩朝鮮労働党委員長ら、北朝鮮の高官らに人権侵害の責任があるとして、制裁対象に指定しており、北朝鮮人権法は、米大統領に対し、制裁の維持を要求している。...
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北朝鮮人権法は、ジョージ・W・ブッシュ政権時代の2004年に成立したものであり、日本人拉致問題の解決などを含む北朝鮮の人権状況が改善しない限り、人道支援を除く同国への援助を禁止している。
トランプ大統領は、ホワイトハウスが発表した声明で、「今日、私は北朝鮮人権法に署名した。この法律は、朝鮮民主主義人民共和国内で、人権と自由を推進することを意図したものである。」と述べた。
米政府は金正恩朝鮮労働党委員長ら、北朝鮮の高官らに人権侵害の責任があるとして、制裁対象に指定しており、北朝鮮人権法は、米大統領に対し、制裁の維持を要求している。また、中国が脱北者を北朝鮮に強制送還するのを、即時中止させることも求めている。
同法はまた、USBメモリー、マイクロSDカード、音声・映像プレイヤー、携帯電話などの電子媒体や通信機器などを利用して、北朝鮮国民に海外ニュースなどの外部情報に触れさせる活動を行う団体に資金提供を行うよう大統領に求めるとともに、米国務省に対し、北朝鮮国民の間で人気のある韓国や米国の音楽、テレビ番組、映画など、これらの媒体や機器に収録する内容の改善計画を、議会に報告することも定めているという。
北朝鮮人権法は、時限立法でこれまで2回延長されたが、昨年期限切れとなったため、米議会上下両院で、2022年まで再延長する法案が可決されていた。トランプ大統領は6月、金正恩委員長との歴史的な米朝首脳会談を行ったが、非核化までは圧力を継続する考えを示しており、今回法案の署名に踏み切り、延長が成立した。
しかし、実際のところ、トランプ大統領もポンペオ国務長官も、人権問題より非核化を優先する意向と見られており、米政府が北朝鮮の人権問題にどれだけ本気で取り組むかについては、疑問が投げかけられている。一方、今回の署名により、人権法が実際に延長されたことは、北朝鮮側を刺激し、非核化を巡る米朝対話に悪影響が出るという見方もある。
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