イスラエルのテルアビブで11日、アラブ系イスラエル人とその支持者ら数万人が、イスラエルをユダヤ人の国家とする新法は、差別的であるとして抗議するデモを行った。参加者にはユダヤ系イスラエル人も含まれていた。
これに先立ち4日、イスラエルのイスラム教の一派であるドルーズ派のアラブ人信徒らがテルアビブで数万人規模のデモを行っており、新法は自分たちを第2級の市民とするものであると抗議していた。ドルーズ派の人々は11日のデモにも参加している。
11日のデモでは、参加者らはイスラエル政府を「人種差別の政権」と非難し、ヘブライ語とアラビア語で「平等を」「人種差別は認められない」などと叫びながら行進した。...
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これに先立ち4日、イスラエルのイスラム教の一派であるドルーズ派のアラブ人信徒らがテルアビブで数万人規模のデモを行っており、新法は自分たちを第2級の市民とするものであると抗議していた。ドルーズ派の人々は11日のデモにも参加している。
11日のデモでは、参加者らはイスラエル政府を「人種差別の政権」と非難し、ヘブライ語とアラビア語で「平等を」「人種差別は認められない」などと叫びながら行進した。国営テレビ局によれば、3万人以上が参加したという。
先月同国の国会(クネセト)を通過した新法は、事実上の憲法であるイスラエルのいわゆる基本法の一部となる。懸念の原因である条文には、平等や民主主義の言及がなく、イスラエルのユダヤ人が優位であるとする、極右の宗教的国家主義の政治家が長い間提唱してきた内容を暗に意味するものになっている。
ある条項では、イスラエルをユダヤ人の歴史的な母国と表現しており、ユダヤ人は同国で唯一民族自決権を持つとしている。また、ユダヤ人の地域社会の確立を国益の一部と定義する条項や、ヘブライ語を唯一の公用語とし、ともに公用語とされてきたアラビア語を特別な地位を持つ言語に格下げする条項なども含まれる。
アラブ系イスラエル人は、1948年にイスラエルが建国された際、同国の自らの土地に留まったパレスチナ人の子孫であり、同国の人口900万人の約17.5%を占めている。イスラエルの法律の下で、彼らは全ての権利を平等に与えられているが、これまでも事実上差別されているとの主張を行っていた。新法の成立によって、住宅政策から予算、土地の分配に至るまで、あらゆる分野で自分たちに対する公然とした差別が許される可能性があるとの深い懸念を抱いている。
一方、ドルーズ派はイスラエル国内に12~13万人の強大なコミュニティーを構成している。新法への強い反発の背景には、他のアラブ人と異なる待遇を受け、ユダヤ人とともに警察業務に就いたり、兵役に服したりすることを義務付けられてきたという歴史がある。
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