プーチン大統領は、トランプ大統領と個人的友好関係は築けているが、米議会からは敵視されたままで、度重なる対ロ追加制裁に喘いでいる。一方、メルケル首相も、クリミア問題で欧州としての対ロ制裁は維持する意向なるも、それ以上にトランプ大統領の一国主義(気象温暖化対策パリ協定やイラン核合意からの離脱はもとより、対欧州関税賦課政策等々)に辟易している。そこで、ここは両国独自の戦略協議が有効と考えた模様で、独ロ首脳会談を持ちかけている。
8月13日付
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「メルケル首相とプーチン大統領、バルト海経由のパイプライン敷設プロジェクトやシリア問題協議のため首脳会談」
アンゲラ・メルケル首相のステファン・シーベルト報道官は8月13日、同首相とウラジーミル・プーチン大統領が8月18日、ベルリン郊外の政府迎賓館で両国首脳会談を持つ旨発表した。
主要議題は、バルト海経由の天然ガスパイプライン敷設プロジェクト及びシリア問題であるとする。...
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8月13日付
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「メルケル首相とプーチン大統領、バルト海経由のパイプライン敷設プロジェクトやシリア問題協議のため首脳会談」
アンゲラ・メルケル首相のステファン・シーベルト報道官は8月13日、同首相とウラジーミル・プーチン大統領が8月18日、ベルリン郊外の政府迎賓館で両国首脳会談を持つ旨発表した。
主要議題は、バルト海経由の天然ガスパイプライン敷設プロジェクト及びシリア問題であるとする。
天然ガスパイプライン敷設プロジェクトは、ノルド・ストリーム 2で2019年完工予定のプロジェクトであるが、ロシア・パイプラインが経由しない東欧の数ヵ国及び米国が反対を表明している。
同報道官は、(ノルド・ストリーム 2とは別に)依然ウクライナ経由でのロシア産天然ガス輸送事業は継続するという点が重要だと付言した。
8月14日付英『デイリィ・エクスプレス』紙:「プーチン大統領、物議を醸している天然ガスパイプライン敷設プロジェクト協議のためメルケル首相と会談意向」
プーチン大統領とメルケル首相は今年5月、ソチ(ロシア南西、黒海東岸の都市)で首脳会談を持っており、ドナルド・トランプ大統領のイラン核合意離脱表明やシリア問題について協議している。
今回、ベルリンの50マイル(約80キロメーター)北の政府迎賓館で開催される両国首脳会談では、主としてエネルギー政策、すなわちノルド・ストリーム 2パイプライン敷設プロジェクトについて協議されることになろう。
同プロジェクトは、東欧諸国を経由することなく中欧にロシア産天然ガスを供給するためのものであることから、ポーランドやウクライナ等から反対の声が上がっている。
特にウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は、同国経由の天然ガスパイプライン利用の供給量減のため、最大で年30億ドル(約3,300億円)の輸送料収入減に繋がるとして、ノルド・ストリーム 2は経済性のない、政治的に進められたプロジェクトだと非難している。
また、トランプ大統領もかつて、ドイツはエネルギー総需要量の60~70%もロシア産天然ガスに依拠することとなり、ロシアに牛耳られるのは目に見えていると批判している。
8月13日付ロシア『タス通信』:「専門家が独ロ首脳会談議題を解説」
ロシア学術協会欧州委員会のウラディスラフ・ベロフ副委員長は、8月13日に当通信の取材に答えて、独ロ首脳会談の主要議題は、ノルド・ストリーム 2に留まらず、直近で米国が採用した対ロ追加制裁を含め、広範囲にわたるとみられるとコメントした。
同副委員長は、米国による追加制裁で、ノルド・ストリーム 2プロジェクトのみならず、イラン核合意も影響を受けるとする。
すなわち、大手国際企業がイランから撤退し、ノルド・ストリーム 2プロジェクトに加わってくることが考えられるからという。
なお、シリア問題では、ロシア・ドイツ・フランス及び欧州連合(EU)協力による今後の政治体制や人道支援について、両首脳が打合せることになるとみている。
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