ロンドン証券取引所に上場している上位100社(FTSE 100)の最高経営責任者(CEO)の報酬の中央値は、昨年11%上昇して約390万ポンド(約5億5,000万円)となり、同時期に2%程度しか上がらなかった一般社員の給与の167年分であることが判明した。
英人事教育協会(CIPD)とシンクタンクのハイ・ペイ・センターが先週公表した調査結果によると、2017年の一般社員の給与の中央値は2万3,474ポンド(約330万円)で、CEOらの報酬はその167年分となり、2016年の153年分から格差がさらに拡大した。
英政府は格差是正に取り組んでいる。既に英企業は、男女の平均賃金の格差について公表することが義務付けられているが、2020年からは、幹部社員と一般社員との給与格差を公表し、是正することを義務付ける。...
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英人事教育協会(CIPD)とシンクタンクのハイ・ペイ・センターが先週公表した調査結果によると、2017年の一般社員の給与の中央値は2万3,474ポンド(約330万円)で、CEOらの報酬はその167年分となり、2016年の153年分から格差がさらに拡大した。
英政府は格差是正に取り組んでいる。既に英企業は、男女の平均賃金の格差について公表することが義務付けられているが、2020年からは、幹部社員と一般社員との給与格差を公表し、是正することを義務付ける。これは企業に対し、株価の変動が将来の役員報酬にどのように影響するかを、正確に説明するよう促すことにもつながるという。
そうした動きがあるにも関わらず、2017年のCEOらの報酬は大きく増加した。最も高額報酬を得たCEOは、建築会社パーシモンのジェフ・フェアバーン氏で、2016年から約22倍増の4,700万ポンド(約66億円)以上を受け取った。2位は投資会社メルローズ・インダストリーズのサイモン・ペッカム氏の4,280万ポンド(約60億円)で、2016年から約43倍増に跳ね上がった。上位CEOの報酬が大きく増えたため、FTSE 100社の平均値を取ると前年比23%増となり、中央値の11%増を大きく上回る数字となった。
CIPDのピーター・チーズCEOは、「投資家らによる現状改革の圧力が強まり、給与格差の政府への報告義務の導入が予定されているにも関わらず、調査結果は、英国のCEOらの報酬については、殆ど状況が変わらないことを示している。」と指摘した。
大企業の不祥事などによる信用問題や透明性を求める声の高まりを受けて、企業は注目が集まるCEOの報酬の精査を求められている。ハイ・ペイ・センターのルーク・ヒルドヤード所長は声明で、「CEOらと一般社員の間に、これほどの給与格差がまだ存在することは、人々の平静さを大きく失わせることだ。」と警告した。
本調査では、男女のCEOの報酬格差についても明らかになった。FTSE 100社のCEOの内、女性は7%を占めるに過ぎないが、女性CEOの報酬合計が100社のCEOの報酬合計に占める割合はさらに低く、わずか3.5%となっている。
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