ユーロ圏の救済基金である欧州安定メカニズム(ESM)は2015年8月の合意から3年にわたり、ギリシャに合計619億ユーロ(約7兆8200円)を支援してきたが、それが完了したと発表した。同国への支援は、EUや国際通貨基金(IMF)が行ってきたものも合わせると、2010年から8年間で2800億ユーロ(約36兆円)にものぼり、世界最大の金融支援となった。
同国は2009年に政権が交代したことをきっかけに公表の数字を上回る額の財政赤字が発覚。...
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ユーロ圏の救済基金である欧州安定メカニズム(ESM)は2015年8月の合意から3年にわたり、ギリシャに合計619億ユーロ(約7兆8200円)を支援してきたが、それが完了したと発表した。同国への支援は、EUや国際通貨基金(IMF)が行ってきたものも合わせると、2010年から8年間で2800億ユーロ(約36兆円)にものぼり、世界最大の金融支援となった。
同国は2009年に政権が交代したことをきっかけに公表の数字を上回る額の財政赤字が発覚。同国政府は財政健全化を図った計画を発表するが、現実的でない計画に格付会社がギリシャ国債の格付けを引き下げ、それに伴い国債は暴落した。さらにユーロも下落するなどして世界中を混乱に巻き込んだ。この危機に対して2010年と2012年、そして2015年にEUやIMFなどが金融支援を行った。
今回の件について、ESMのマリオ・センテーノ会長は追加プログラムを実施しない旨を発表し「ギリシャは2010年以来始めて自立できる」「ギリシャ経済は再び成長しており、貿易は黒字に転じ、失業率も着実に下がっている」と伝えた。欧州委員会のヴァルディス・ドンブロウスキス副委員長も「非常に長く難しかった旅の終わりに祝意を表す。ギリシャの人々の忍耐と機知を讃えたい」と話した。
ただ、金融支援と引き換えに年金の減額や増税など緊縮財政を市民に強いていたため、国民の不満はいまだに根強い。支援が終了しても引き続き厳しい状況は変わっていないため、今後のギリシャ政府の対応が注目される。
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