マイク・ポンペオ米国務長官は17日、10月から始まる2019会計年度の難民の受け入れ上限を3万人とすることを発表した。これは本年度の4万5,000人を下回り、1980年に国務省が難民の再定住プログラムを開始して以降、最低の上限数となる。
新年度の難民受け入れの上限3万人は、過去最低水準だった本年度の4万5,000人を大きく下回った。実際に本年度に再定住した難民数約2万1,000人よりは多いが、オバマ前政権が、2017会計年度に設定した上限11万人の4分の1を僅かに上回る水準に止まる。
前政権は毎年7~8万人の難民を実際に受け入れていた。一方、トランプ大統領は、就任直後から難民受け入れを120日間停止し、その後も受け入れ人数の抑制を目指してきた。...
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新年度の難民受け入れの上限3万人は、過去最低水準だった本年度の4万5,000人を大きく下回った。実際に本年度に再定住した難民数約2万1,000人よりは多いが、オバマ前政権が、2017会計年度に設定した上限11万人の4分の1を僅かに上回る水準に止まる。
前政権は毎年7~8万人の難民を実際に受け入れていた。一方、トランプ大統領は、就任直後から難民受け入れを120日間停止し、その後も受け入れ人数の抑制を目指してきた。受け入れ上限の急激な減少は、現政権の移民に対する厳しい取り締まり政策の一環だ。
ポンペオ国務長官は、「本政権の難民政策の改善は、米国の国益に資するものであり、世界中の困窮している人々を支援するわが国の能力を拡大する。」と17日の記者会見で述べた。人権保護団体から批判の多い受け入れ上限の減少については、米国は他にも多くの難民支援や保護活動を国外で行っていると強調し、「わが国は世界で最も寛大な国家であり、今後もそうあり続ける。」と、受け入れ数のみで判断すべきではないと釈明した。
国務省の統計によれば、9月14日までの本会計年度に米国が受け入れた難民は2万825人で、その内の9,566人がアフリカ、3,418人が東アジア、3,706人が中東と南アジア、3,279人が欧州からとなっている。
ポンペオ長官は、「米国人に奉仕するという我々の第一の義務を見失うことなく、世界で立場の弱い人々を支援し続ける。」と述べる一方、数十万件の難民申請は、その殆どがメキシコなど中米の人々によるものであり、内容を精査する官僚機構の重い負担となっていることを明かした。現在米国では、難民申請の手続が終了し、裁定を待つ人が80万人いるのに加え、28万人超の手続の処理が進行中だが、大多数が米南西部の国境を越え、中米から来た人々であり、本来受け入れを認めるべきでない「経済移民」が多いという。
長官はまた、政府が潜在的な犯罪やテロの脅威を容認しないよう、より注意深くあるべきであると指摘した。イスラム国(IS)所属や犯罪歴のある外国人が、難民再定住プログラムにより入国するなど、過去に導入されたシステムの欠陥も明らかになったとしている。
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