米首都ワシントンを本拠とするシンクタンクのピュー研究所は1日、世界25カ国で実施した調査結果を公表した。これによると、2017年にトランプ政権が発足して以来、米国のイメージは悪化しており、トランプ大統領の指導者としての評価は、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席への評価を下回ることが判明した。
同調査は5~8月、世界25カ国でそれぞれ900人以上にインタビューを行い、実施された。米国に対するイメージについては、トランプ大統領の任期1年目だった昨年、大きく悪化したが、今年も欧州を始めとして多くの国でさらに悪化したことが分かった。米国に好意的な見方をする人の割合は、ドイツでは僅か30%で、昨年から5ポイントも低下した。最も低かったのはロシアの26%で、ドイツは次に低い。フランスでも僅か38%、カナダが39%で、両国とも昨年から悪化した。メキシコは少し回復し32%となった。
米国に対し好意的な見方をする人が最も多いのは、イスラエル、フィリピン、韓国などの国々で、全て80%以上だった。日本も67%と多い。調査対象国全体では、米国に好意的な見方をする人は50%で、昨年と同様だったが、オバマ前政権時代の64%からは大きく減少した。一方、否定的な見方をする人は、昨年の39%から43%に増加している。
トランプ大統領の指導力については、スペインでは7%、フランスでは9%、ドイツでは10%しか評価する人はいなかった。そして25カ国中20カ国で、過半数がトランプ氏の指導力を信頼していないと回答した。米国の同盟国では特に否定的な意見が多い。
調査対象国全体では、27%の回答者がトランプ氏の指導力を信頼するとしたが、ロシアのプーチン大統領の30%、中国の習近平首席の34%を下回った。ドイツのメルケル首相の指導力を評価する人は52%と過半数を占め、フランスのマクロン大統領は46%だった。
トランプ氏への低評価にもかかわらず、63%の回答者が、米国が世界のリーダーであることを期待しており、リーダーには中国がより相応しいとした人の19%を大幅に上回った。但し、トランプ氏の「米国第一主義」を反映し、25カ国中19カ国では、大多数の人が、国際的な政策決定に際し、米国は他国の利害を考慮していないと答えた。
米国の同盟国では、トランプ政権の米国民の市民的自由に対する姿勢について、懐疑的な見方をする人が多く、英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、カナダ、メキシコでは過半数が、同政権は個人の自由を尊重していないと回答している。
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