今月初めに発足した第4次安倍改造内閣では、“女性活躍社会の創生”と言いながら、女性閣僚は僅か1名(比率4%)となっている。本邦の政界では、女性議員比率(衆議院)が、世界193ヵ国の下院議員比率ランキングにおいて158位(10%)と先進国中最低レベルで、一向に改善されていない。民間企業においても同様で、女性の管理的職業従事者比率が12.5%と、米国(43%)、英国(35%)、フランス(32%)、ドイツ(29%)等より遥かに劣っている。そういった中にあって、海上自衛隊所属の女性自衛官が、日本にはびこる性差別に最前線で奮闘している。
10月10日付
『ロイター通信』:「海上自衛隊の女性自衛官、性差別に挑んで最前線で奮闘中」
とかく女性の社会進出の度合いが低いと言われる日本であるが、海上自衛隊(MSDF)においても同様で、少子化問題が深刻であることから、十分な兵力を確保するため、女性自衛官の登用は焦眉の急となっている。
例えば、南シナ海の制海権を狙っている中国に対抗するため、同海域に2ヵ月余り長期派遣されているMSDF所有最大級のヘリコプター搭載護衛艦“かが”において、乗員450人のうちの女性自衛官比率は約9%と、かつての6%から上昇している。...
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10月10日付
『ロイター通信』:「海上自衛隊の女性自衛官、性差別に挑んで最前線で奮闘中」
とかく女性の社会進出の度合いが低いと言われる日本であるが、海上自衛隊(MSDF)においても同様で、少子化問題が深刻であることから、十分な兵力を確保するため、女性自衛官の登用は焦眉の急となっている。
例えば、南シナ海の制海権を狙っている中国に対抗するため、同海域に2ヵ月余り長期派遣されているMSDF所有最大級のヘリコプター搭載護衛艦“かが”において、乗員450人のうちの女性自衛官比率は約9%と、かつての6%から上昇している。
しかし、米軍の15%や英国軍の10%に比し、依然劣っている。
ただ、MSDFにとっては、自衛隊の中でも女性採用に苦慮している模様である。
2016年の場合であるが、ほぼ同じ規模で採用している航空自衛隊(定員4万7千人)に6,900人もの女性が応募してきたのに対して、MSDF(4万5千人)では3,927人にしかならなかった。
ひとつには、直近の若者にとって、長距離航海等長期勤務に出た場合、ラインやインスタグラム等ネットへのアクセスが非常に制限されることが敬遠される理由とみられる。
護衛艦“かが”では、航海上においては、一日当り4通までのメール交信しか許されていないという。
それでも、2017年建造の新鋭船“かが”には、女性トイレやシャワールームはもとより、男性立入り禁止の女性専用寝室まで整備されていることから、同艦乗船の女性自衛官は異口同音に恵まれつつあると言っている。
但し、中堅の女性自衛官にとって、女性は不向きだと信じている男性自衛官に対抗して、遜色ないはたらきをして見返すべく、依然挑戦し続ける必要があるという。
例えば、自衛隊においても、セクシャルハラスメントの被害は発生していて、今年7月、MSDF所属のある男性兵曹が3人の女性自衛官に強引にキスしようとする行為を数ヵ月続けていたことから、除籍させられている。
ただ、女性自衛官の増加で思いがけない効果があったという。
護衛艦“かが”の東野康晴部隊最先任上等曹によると、男性自衛官が毎日髭をそり、また制服にアイロンをかける等、身だしなみに気を付けるようになったという。
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