米国防総省は、深刻化する国家安全保障上の新たな脅威に直面している。若者の肥満者の増加だ。先週、米国人の若者の約3分の1が、体重が多過ぎて米軍への入隊条件を満たさないという、兵士の募集に苦労する米軍関係者にとって気がかりなデータが公表された。
米国の超党派の非営利団体「強い米国のための協議会(Council for a Strong America)」は10日、「不健康と準備不足(Unhealthy and Unprepared)」と題する新たな報告書を公表し、「肥満は長きにわたり我が国の健康の脅威であった。蔓延するにつれ、肥満が国家の安全保障をも脅かす事態となってしまった。」と警告した。
同団体は2010年に「太り過ぎていて戦えない(Too Fat to Fight)」、12年にも「なお太り過ぎていて戦えない(Still Too Fat To Fight)」の2報告書を発表し、肥満が軍の大きな問題であることを指摘していた。...
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米国の超党派の非営利団体「強い米国のための協議会(Council for a Strong America)」は10日、「不健康と準備不足(Unhealthy and Unprepared)」と題する新たな報告書を公表し、「肥満は長きにわたり我が国の健康の脅威であった。蔓延するにつれ、肥満が国家の安全保障をも脅かす事態となってしまった。」と警告した。
同団体は2010年に「太り過ぎていて戦えない(Too Fat to Fight)」、12年にも「なお太り過ぎていて戦えない(Still Too Fat To Fight)」の2報告書を発表し、肥満が軍の大きな問題であることを指摘していた。
米陸軍は先月、2018年の新兵採用目標数の7万6,500人を達成できず、約6,500人が不足するとの見通しを発表した。目標不達成は2005年以来であり、好調な米国経済と労働市場の逼迫がその背景にあるが、採用対象者の母集団が次第に縮小していることが示された。国防総省によると、入隊資格を満たさない17~24歳の米国人は71%もおり、その最も多い理由の1つが肥満とされている。
新たな報告書は、退役軍人らのグループによってまとめられた。入隊に関心ある若者が減少している現在、肥満の問題は特に大きな不安材料であると指摘する。また、体重が多過ぎて入隊できない米国人の若者の割合が高いことを踏まえると、入学前の幼少時から健康的な生活習慣を推奨する対策を講じない限り、新兵の採用の問題は続くと主張している。
マティス国防長官も先月、米国の入隊資格者の減少は「大きな懸念」であるとして、「この国の71%もの若者が軍に入隊する資格がないのは悲しい状況だ。」とコメントした。長官は、退役軍人らが学校で、栄養価が高く健康に良い昼食を取る教育を推進していることを評価し、地域による対応の必要性を強調した。
報告書はさらに、肥満の問題は軍に入隊後も続くと説明している。米軍は毎年15億ドル(約1,680億円)を投じ、隊員の肥満に関連した健康状態を改善し、健康的な生活習慣を身に付けさせる各種のプログラムに取り組んでいるという。
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