世界銀行は17日、世界の貧困に関する報告書を発表した。これによると、極貧層の減少が進展しているものの、いまだ世界人口の半数近くの34億人が、1日に5.5ドル(約620円)未満の収入で生活する貧困状態にあることが判明した。
1日に1.9ドル(約210円)未満の収入で生活する極貧状態と定義される人々の割合は、近年減少を続けているが、世界銀行は、年に2回発行する世界の貧困に関する報告書の中で、貧困の定義を1日5.5ドル未満にまで拡大して監視を続けている。この定義では、世界人口に占める貧困層の割合は、1990~2015年の間に67%から46%へと減少した。
近年の世界の経済成長は減速しているが、2013年~15年の間を見ても、貧困状態にある人々の総数は、6,800万人以上減少している。...
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1日に1.9ドル(約210円)未満の収入で生活する極貧状態と定義される人々の割合は、近年減少を続けているが、世界銀行は、年に2回発行する世界の貧困に関する報告書の中で、貧困の定義を1日5.5ドル未満にまで拡大して監視を続けている。この定義では、世界人口に占める貧困層の割合は、1990~2015年の間に67%から46%へと減少した。
近年の世界の経済成長は減速しているが、2013年~15年の間を見ても、貧困状態にある人々の総数は、6,800万人以上減少している。それはタイや英国の人口にほぼ相当する数だ。しかし世銀は、貧困層の割合はいまだ「容認できないほど高い。」としており、経済成長の恩恵が「地域や各国内で平等に分配されていない。」と指摘した。
極貧状態にある人々の割合は、世銀の先月の発表によると、1990~2015年の間に36%から10%にまで減少した。しかし現在の傾向では、2030年までに極貧層の割合を世界人口の3%未満にまで減らすという世銀の目標が達成できないかも知れないという。世銀は、「とりわけ悲惨なことだが、一部の国々は極貧状態から抜け出せなくなっており、減少ペースがまもなく大幅に減速するだろう。」と警鐘を鳴らした。
地域別には、中国の経済発展によって、東アジア・太平洋地域では、貧困層の割合は60ポイントも低下して35%にまで減少したが、同地域では成長のスピードが緩やかになっているため、今後は現在の減少ペースを維持できないと思われる。極貧層の割合は非常に少なくなったが、衛生状態が悪い生活などの問題を抱えている。
サハラ砂漠以南のアフリカ地域では、貧困が蔓延している。人口の84.5%が今なお5.5ドル未満で暮らしており、同地域の3分の1の国々では、下から40%の低所得層の収入が減少しているなど、深刻な状態が続く。
20年前には、世界人口の60%が低収入の国々に暮らしていたが、2015年までに、その割合は9%に低下した。しかし世銀は、それら低収入の国々の多くで、貧困層が経済成長の恩恵を平等に受けることができていないと警告している。
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