英国の欧州連合(EU)離脱に関する協定案をめぐり、テリーザ・メイ首相と、再度の国民投票を要求するEU残留派のトニー・ブレア元首相が公然と相手を批判し、激しく対立する異例の事態となっている。
『BBC』などの英メディアや
『AFP』通信が報じた。ブレア元首相が、EUとの協定案をめぐって政治的に行き詰った状況を打開するため、2回目の国民投票を求めたことに対し、メイ首相は、有権者を侮辱し、現政権を弱体化させようとしているとして非難した。
メイ首相は15日に声明を発表し、「トニー・ブレア氏がブリュッセルに出向き、2回目の国民投票を主張して我々の交渉を妨害しようとするのは、同氏がかつて勤務した官邸オフィスと、かつて仕えた国民への侮辱である。...
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『BBC』などの英メディアや
『AFP』通信が報じた。ブレア元首相が、EUとの協定案をめぐって政治的に行き詰った状況を打開するため、2回目の国民投票を求めたことに対し、メイ首相は、有権者を侮辱し、現政権を弱体化させようとしているとして非難した。
メイ首相は15日に声明を発表し、「トニー・ブレア氏がブリュッセルに出向き、2回目の国民投票を主張して我々の交渉を妨害しようとするのは、同氏がかつて勤務した官邸オフィスと、かつて仕えた国民への侮辱である。」と痛烈に批判した。そして、「同氏ならそのようにするだろうが、我々はこの決定に対する責任を放棄することはできない。議会は、英国民が投票によってもたらした民主的な義務を負っている。」と述べている。
ブレア元首相は現野党の労働党出身で、1997~2007年に首相を務めた。ブレア氏は16日、メイ首相の声明に対し「無責任」と非難し、「首相の協定案を含め、提案されたEU離脱の各形態に関する投票を議会に認めるのが賢明である。もし議会で意見の一致を見なければ、理に適う結論は、国民の判断に戻るということだ。」と反論した。
ブレア氏は続けて、「無責任なことは、共同歩調を取らなければ合意なき離脱を迎えることになると政府が議員らを脅し、反対を抑えつけて、彼らが純粋に悪いと思う協定案を受け入れさせようとすることだ。」と強調した。
ブレア氏は離脱に反対しており、再度の国民投票を求めているが、首相は2016年の国民投票の結果は明らかだったとして、再投票の実施を繰り返し否定している。しかし、合意なき離脱を招く恐れのある、この行き詰まり状態を打開する唯一の方法は国民投票と考える議員が増えている。
こうした中、メイ政権が2度目の国民投票を検討しているとの報道があり、首相側近のバーウェル首席補佐官は16日、これを否定した。事実上の副首相であるリディントン内閣府担当相も、再度の国民投票について労働党の約10人の議員らと13日に協議したと報じられ、議員らの意見は常に聴取しているが、再投票は民主主義への信頼を損ねる可能性があり、良い選択肢ではないと述べた。
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