米IT大手マイクロソフトは16日、同社の本社があるワシントン州シアトル近郊に手頃な価格の住宅を建設・整備する事業に対し、総額5億ドル(約547億円)を助成金や貸付金として拠出することを明らかにした。
『AFP通信』『AP通信』『ブルームバーグ』などのメディアが、マイクロソフトの拠出計画について報じた。同社のブラッド・スミス社長兼最高法務責任者(CLO)とエイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は16日、公式ブログで、同社の本社があるシアトル近郊での近年の住宅不足を説明し、「手頃な価格の住宅整備を進めるため、一企業として、5億ドルを拠出することを約束する。」と述べた。住宅整備に対する民間企業の貢献活動としては最大級のものであり、同社の社会貢献への拠出額としても、5億ドルは過去最高だ。
マイクロソフトはワシントン州で最大の雇用者の1つだが、1975年にニューメキシコ州アルバカーキで創業している。その後79年にワシントン州シアトル地区のベルビューに移ったが、現在ではピュージェット湾沿岸地域にある近郊のレドモンドに本社を置いている。そこでは約5万人の従業員が働いており、今後増員する計画もある。
シアトルの大都市圏では、2011年以降、雇用の伸びが21%であるのに対し、住宅建設の伸びは13%にとどまる。入居可能な住宅の不足により、住宅価格が過去8カ月で2倍近くにまで上昇した結果、同地域は、米国で6番目に住宅価格が高い場所になったという。
スミス氏とフッド氏は、「雇用の増加と住宅建設の伸びとのギャップは、シアトル市内より、同市の近郊地域でより大きくなっている。これは大きな問題だ。そして悪化し続けている問題だ。」とブログで指摘した。
両氏によると、マイクロソフトの5億ドルの拠出金は、住宅危機への新たな解決策の始動を支援するために使われる。先ずは、2億2,500万ドル(約246億円)を、中間所得者用の住宅の維持や建設のために、市場金利以下の低利の貸付金として投入するが、当初はシアトルとワシントン湖東部の6都市を対象にする。
同社はさらに、2億5,000万ドル(約273億円)を市場金利で低所得者層の住宅整備のために貸し付け、残りの2,500万ドル(約27億円)をホームレスの人々への支援を行う慈善事業に対する助成金として用意することを予定している。
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