米国の数か所のクリニックでは、老化防止や認知症症状の改善などの目的で、高齢者に対し、若者の血液を輸血する治療が行われていたが、科学的エビデンスがないとして、米国食品医薬品局(FDA)はこの治療の効果はなく、危険だと勧告しているという。
2月19日付米国
『USAトゥデイ』は「FDA: 若者の血の輸血は危険、老化防止効果はない」との見出しで以下のように報道している。
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、老化防止や記憶喪失等の症状への即効的な効果を求めて若者の血を輸血するのは危険で高額な治療だと警告している。数州にまたがるクリニックでは、若者提供者から、ドロドロ血液をサラサラにする抗体やタンパクを含む血しょうを数千ドルで輸血してもらえるという。...
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2月19日付米国
『USAトゥデイ』は「FDA: 若者の血の輸血は危険、老化防止効果はない」との見出しで以下のように報道している。
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、老化防止や記憶喪失等の症状への即効的な効果を求めて若者の血を輸血するのは危険で高額な治療だと警告している。数州にまたがるクリニックでは、若者提供者から、ドロドロ血液をサラサラにする抗体やタンパクを含む血しょうを数千ドルで輸血してもらえるという。若者の血の輸血が、老化防止効果や、認知症、パーキンソン病、アルツハイマー病等の治療になると謳う所もある。
しかし、FDAはこれらの効果を証明するものはなく、治療過程で感染症やアレルギー、呼吸器・心臓血管に影響が出ることが懸念されると警告している。FDAは一定の機関は患者を餌食にしているのではないかとしているが、機関名は未公表。
新ガイダンスを受けて、カリフォルニアの「アンブロシア」はネット上で治療中止を発表した。当治療の最初の提唱者カラマジン医師は、外科的に結合されたマウス実験で、若者の血と高齢者の血を混合した効果に関する研究に触発されたという。そこで、被験者に8千ドルで16~25歳の提供者の血を輸血する臨床試験を行い、老化防止に効果があると確信したという。
一方、長い間、医師や研究者の間でこの考えは疑問視されており、臨床的な実証はない。FDAは輸血により症状が悪化したりした場合は報告するよう勧告している。
同日付米国『ビジネス・インサイダー』は「若者の血を8千ドルで輸血することから始まった疑惑の治療、FDAからの警告で中止」との見出しで以下のように報道している。
政府機関(FDA)からの警告を受け、8千ドルで若者の血を輸血する新規治療が中止された。火曜、FDAはアンチエイジング等の健康目的でこの治療を行わないよう勧告。政府から医療機関名は明かされていない。だが、そのうちの一つ、ジェシー・カラマジンが3年間に創設した「アンブロシア」では、1リットル8千ドルまたは、2リットルで1,2万ドルで若者の血を輸血していた。治療を受けた人の多くが、集中力や記憶力の向上、良く眠れる、外見や筋肉での効果が見られたとし、治療の安全性と効果をうたっていたが、科学的なエビデンスは未発表であった。火曜午後、FDAの発表を理由に、ネット上で治療中止を発表した。
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