仏パリの裁判所は20日、スイスの金融大手UBSが富裕層の顧客に脱税を促したとして37億ユーロの罰金を科す判決を下した。仏政府への賠償金8億ユーロを加えた総額45億ユーロ(約5,645億円)の支払いは同国で史上最高であり、UBSは控訴の意向を示した。
『AFP通信』や
『ロイター通信』、英紙
『ガーディアン』などの報道によると、スイス最大手の金融機関UBSは、2004年から2012年の間、フランスの富裕顧客層に資産を国外に置くように持ち掛け、同国の税務当局に対する数十億ユーロの資金隠しや収益洗浄の手助けを違法に行ったとして起訴されていた。
仏検察は、UBSがスイス人銀行員らを他国のゴルフ・トーナメントやクラシック・コンサートなどの催し物に派遣し、新たな顧客にスイスに口座を開くよう不正に勧誘させるとともに、顧客らが資金洗浄する手助けをしたと主張した。...
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『AFP通信』や
『ロイター通信』、英紙
『ガーディアン』などの報道によると、スイス最大手の金融機関UBSは、2004年から2012年の間、フランスの富裕顧客層に資産を国外に置くように持ち掛け、同国の税務当局に対する数十億ユーロの資金隠しや収益洗浄の手助けを違法に行ったとして起訴されていた。
仏検察は、UBSがスイス人銀行員らを他国のゴルフ・トーナメントやクラシック・コンサートなどの催し物に派遣し、新たな顧客にスイスに口座を開くよう不正に勧誘させるとともに、顧客らが資金洗浄する手助けをしたと主張した。検察は、UBSの課税逃れの手助けは組織的であり、脱税後得られた利益の洗浄も計画的に行われたと追及した。
本訴訟の前に、米国でも同様の訴訟が提起され、UBSは2009年に7億8,000万ドル(約864億円)で和解に応じた。ドイツでも2014年、3億ユーロ(約376億円)の罰金の支払いを受け入れている。本訴訟でも和解の可能性が探られたが、合意には至らなかった。
判決を言い渡したクリスチーヌ・ミー裁判長は、UBSは「一貫してフランス国の主権より、自行の金銭的利益を優先させたと結論せざるを得ない。」と指摘し、「並外れて深刻な犯罪だ。」と続けた。罰金額は37億ユーロだが、これにフランス政府に対する8億ユーロの賠償金が加わる。
欧州各国では2008年の世界金融危機以降、脱税などの疑わしい銀行の取引を厳しく取り締まっている。合計45億ユーロ(約5,645億円)の支払い命令は、フランスでは史上最高額であり、同銀行の2018年の純利益49億ドル(約5,425億円)を上回る。UBSのフランス子会社も共犯として、1,500万ユーロ(約18億8,000万円)の罰金を科された。有罪となったUBSの元幹部ら6名の内5名は、刑の執行を猶予されたが、5万~30万ユーロ(約630~3,760万円)の罰金の支払いを命じられた。
UBSはいかなる犯罪行為も否定しており、同行の弁護士は早速控訴する意向を示した。控訴すれば、数年にわたり訴訟が続く可能性がある。同行は訴訟や法的な必要事項による潜在的な損失を補うために24億6,000万ドル(約2,723億円)を別途確保したという。
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