国連のステファン・デュジャリック報道官は21日、北朝鮮政府が、今年の穀物生産量の激減が予測され、食糧危機に陥る可能性が高いとして、国連の支援機関に対し、支援を要請していることを明らかにした。
『ロイター通信』『AFP通信』『AP通信』などの報道によれば、北朝鮮政府の代表団は国連に宛てた文書の中で、2019年には、高温、干ばつ、洪水などによる生産量の落ち込みに加え、国連の制裁により、コメ、小麦、ジャガイモ、大豆の4種の穀物が平年の半分程度しか確保できず、140万トン不足することが予想されると訴え、早急な支援を求めた。
同文書では、北朝鮮の昨年の食糧生産量は495万1,000トンで、既に2017年から50万3,000トン減少したとしている。...
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『ロイター通信』『AFP通信』『AP通信』などの報道によれば、北朝鮮政府の代表団は国連に宛てた文書の中で、2019年には、高温、干ばつ、洪水などによる生産量の落ち込みに加え、国連の制裁により、コメ、小麦、ジャガイモ、大豆の4種の穀物が平年の半分程度しか確保できず、140万トン不足することが予想されると訴え、早急な支援を求めた。
同文書では、北朝鮮の昨年の食糧生産量は495万1,000トンで、既に2017年から50万3,000トン減少したとしている。国連は、これが1月末に提出された同国政府の正式な統計数字であり、4種の穀物の生産量であることを確認した。北朝鮮は、今年は20万トンの食糧を輸入し、約40万トンの早世品種を生産するが、それでも不足するため、1月から日々の国民1人当たりの割当量を、550グラムから300グラムに削減すると説明した。
デュジャリック報道官は、国連の機関や各種支援団体は予算不足のため、昨年は特に援助が必要と見積もられた600万人の人々の内、3分の1程度しか支援できなかったと説明した。要求していた金額の4分の1しか手当てできなかったという。
国連は、現在では、北朝鮮国民の約半数に当たる1,030万人が支援を必要としており、約41%が栄養不良の状態にあると見積もっている。デュジャリック報道官は、国連の支援機関は、現状をさらに把握し、「人道的なニーズに対応する目的で、早期に措置を講じるため」、北朝鮮政府と協議中であると述べた。
北朝鮮は、自然災害などによる穀物生産の激減に加え、国連の制裁が農耕具や農業用燃料の供給を制限したことを問題視している。スティーブン・ビーガン米北朝鮮担当特別代表は今月、米国は人道的支援の制限を緩和し、迅速に対応していると強調した。
国連・安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会は、制裁によって北朝鮮国民に人道的な悪影響を及ぼすつもりはないとしていたが、米国が国連の制裁履行を強化する中で、2018年には人道支援は殆ど行われなかった。デュジャリック報道官は、「安保理の制裁は明確に人道的な活動を除外しているが、意図しない結果となっていた。」と指摘している。
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