3月5日に開幕した中国の第13期全国人民代表大会(全人代、注後記)が3月15日に閉幕した。通常は、共産党執行部の報告等を受けるだけの形式的な位置づけとなっていたが、米国との貿易紛争解決のために背に腹は代えられないとして、これまで外国企業の技術を強制的に移転させてきた中国高官による行為を禁ずる新法を制定した。ただ、これによって、ドナルド・トランプ大統領が強硬に宣言してきた、米政府による中国全製品への追加関税賦課方針が撤回されるのか予断は許されない。
3月15日付米
『AP通信』:「中国全人代、米国の圧力に遭って技術移転に関わる新法制定」
中国の全人代は3月15日、米国政府との関税賦課合戦に区切りをつける一環として、これまで許容してきた中国高官による外国企業の技術を強制的に移転させる行為を禁止する新法を制定した。
米欧やその他中国と交易のある国々は、中国政府による外国企業を公平に扱うとの方針に反して、中国高官が外国企業に対して、“行政指導の名の下での強制的技術移転”を仕向けていることを非常に懸念していた。...
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3月15日付米
『AP通信』:「中国全人代、米国の圧力に遭って技術移転に関わる新法制定」
中国の全人代は3月15日、米国政府との関税賦課合戦に区切りをつける一環として、これまで許容してきた中国高官による外国企業の技術を強制的に移転させる行為を禁止する新法を制定した。
米欧やその他中国と交易のある国々は、中国政府による外国企業を公平に扱うとの方針に反して、中国高官が外国企業に対して、“行政指導の名の下での強制的技術移転”を仕向けていることを非常に懸念していた。
新たに制定された外国投資法案の中に明記されたとするもので、中国高官による技術搾取と疑われる行為が禁止されている。
中国政府発表によると、2,929人が賛成票を投じ、反対は8人、棄権が8人で、圧倒的多数によって承認されたという。
ただ、この立法化によって、ドナルド・トランプ大統領が強硬に主張している、米国による中国全製品に対する追加関税賦課政策を見直すことになるのかは依然不詳である。
しかし、中国国営『新華社通信』によると、劉鶴(リウ・ホー)国務院副総理がロバート・ライトハイザー米通商代表及びスティーブン・ムニューシン商務長官と電話会談したところ、米国側からは“これまで以上の前進”だと評価されたとする。
同日付中国『新華社通信』:「全人代が閉幕」
習近平(シー・チンピン)国家主席初め中国政府幹部は3月15日午前、北京人民大会堂で開催された第13期全人代の閉幕式に出席した。
今回の全人代では、高度の情報開示・市場開放を推し進めるための外国投資法案を新たに制定した。
更に、中央政府活動報告や、全人代常務委員会、最高人民法院、最高人民検察院の成果報告について承認した。
また、中央政府及び地方政府の予算案を含めた国家経済計画及び社会保障発展計画についても採択した。
(注)全人代:1954年に設立された中国の一院制議会。憲法上、国家の最高権力機関及び立法機関として位置づけられている。中華人民共和国主席(国家元首)及び副主席、国務院(最高行政機関)、国家中央軍事委員会(最高軍事指導機関)、最高人民法院(最高司法機関)、最高人民検察院(最高検察機関)の構成員は全人代によって選出され、全人代に対して責任を負い、全人代の監督を受ける。全人代は、省・自治区・直轄市・特別行政区の人民代表大会および中国人民解放軍から選出された代表(議員)によって構成される。
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