トランプ米大統領は22日、米国の中央銀行制度の最高意思決定機関である連邦準備制度理事会(FRB)の理事に、保守系シンクタンクのエコノミスト、スティーブン・ムーア氏を指名する意向を表明した。
『ブルームバーグ』『AFP通信』『CNN』などのメディアの報道によれば、ムーア氏は保守系シンクタンク、ヘリテージ財団の客員研究員で、2016年米大統領選でトランプ陣営の経済顧問を務めるなど、長年トランプ氏を支持している。
ムーア氏は、利上げを続けたFRBのパウエル議長体制を厳しく批判している。同氏は昨年12月、パウエル氏は「経済を破綻させている」として、トランプ氏に解任を要求していた。しかし、同氏の悲観的予測はしばしば外れることもあるとメディアは報じている。ムーア氏は量的緩和としてのFRBの有価証券の購入を批判し、米国はハイパーインフレに突入しようとしていると警告したが、実際には、さほどのインフレは起きなかった。
トランプ大統領は22日、フロリダ州パームビーチに向かう途中、記者団にムーア氏の指名を発表した後、ツイッターに投稿し、「非常に評価の高いエコノミストであるスティーブン・ムーア氏を、FRB理事に指名することを発表できて嬉しい。私はスティーブを長年知っているが、間違いなく素晴らしい人選となるだろう。」と述べた。
ムーア氏は、FRB理事に就任する前に厳しい審査を受け、米上院により承認を受けねばならない。現在、FRB理事の7人の定員には2つ空席があり、その内の1つを埋めることになる。理事の任期は14年で、任期の開始と満了時期は理事毎に異なり、空席となっている前任者の残りの任期を引き継ぐ場合には、14年より長くなる場合もある。
トランプ大統領は、FRBでの経験がないか、その政策に反対する人物をFRBに送り込んでおり、ムーア氏の指名は、大統領の意向に沿った人事だ。ムーア氏を理事にして、パウエル氏を監視し、追加利上げを阻止する狙いもあるともみられている。しかし、こうした人事は、権力から独立した機関であるFRBの性格を大きく変えることにもなり得る。トランプ氏はまた、FRBの政策を公然と批判しているが、これも極めて異例のことだ。
米商務省は先月、2018年の実質経済成長率を、15年と並ぶ3年ぶりに高い2.9%と発表した。トランプ氏は、FRBを米経済の「最大の脅威」と言い切り、22日のテレビインターでは、米国の経済成長率は、FRBが利上げをしなければ4%を超えていたと主張した。
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