ロシアの独立系調査機関であるレバダ・センターが先月実施した世論調査によると、旧ソ連時代の独裁者スターリン元共産党書記長について、肯定的な評価をするロシア人の割合が過去最高となったことが判明した。
ロシアメディアの
『モスクワ・タイムズ』や
『RT』などが報じたレバダ・センターの世論調査は、3月21~27日、18歳以上の約1,600人を対象に実施され、16日にその結果が公表された。
これによると、スターリン元書記長が果たしたロシア史上の役割について、肯定的な評価をする人は70%だった。スターリンが「肯定的役割」を果たしたとする人の割合は、2016年に過去最高の54%を記録していたが、今回はこれを大きく更新した。...
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ロシアメディアの
『モスクワ・タイムズ』や
『RT』などが報じたレバダ・センターの世論調査は、3月21~27日、18歳以上の約1,600人を対象に実施され、16日にその結果が公表された。
これによると、スターリン元書記長が果たしたロシア史上の役割について、肯定的な評価をする人は70%だった。スターリンが「肯定的役割」を果たしたとする人の割合は、2016年に過去最高の54%を記録していたが、今回はこれを大きく更新した。一方、「否定的役割」を果たしたとする人は、16年の32%から19%に低下し、過去最低となった。
ロシアでは、スターリンは多くの政敵や民衆を弾圧した独裁者である一方で、第2次大戦の戦勝をもたらした英雄としての評価も受けている。そのイメージは2000年代以降改善し、傑出した指導者へと徐々に変化しており、スターリンの犯罪行為は不当とする人の割合も、2008年の60%から今回の45%へと減少した。プーチン現大統領が、旧ソ連国歌の旋律、ソ連型の軍事パレード、ソ連時代の労働勲章などを復活させたことにより、過去の時代への郷愁を感じる人が増えたことも背景にあると思われる。
また、スターリンを人としてどう思うかの問いについても、51%の人が「肯定的な感情」を抱いていると答え、その内訳は41%が「尊敬する」、6%が「好感を持つ」、4%が「称賛する」だった。一方、スターリンを「嫌いだ」「恐れている」「憎んでいる」と「否定的な感情」を持つ人は全体でわずか13%、どちらでもないと回答した人は26%だった。
2001年の第1回調査以来、スターリンに対し肯定的な評価をする人の割合が50%を超えたのはこれが初めてだという。世代別でも、どちらでもないとの回答が多かった18~24歳を除き一貫して多かった。共産党支持者以外のロシア人からの評価も改善している
レバダ・センターによると、ロシア社会のスターリンについての認識は、過去20年で3段階に変化してきた。2000年代には肯定的・否定的な評価が拮抗、2008~14年には中立的な見方がより支配的となり、2015年以降は中立的・否定的評価が減少しているという。
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