香港では2014年9~10月、20万人余りが参加し、学生ら1,000人以上が逮捕される反政府デモが発生した。香港中文大学(1963年設立の公立大学)構内他で行われた座り込みデモ隊が、警察から浴びせられた催涙ガス類に対抗するため雨傘を用いて防いだことから、“雨傘運動(注後記)”や“雨傘革命”と呼ばれた。そしてこの程、香港の裁判所は8人の指導者らに、公的不法妨害罪で最高16ヵ月の懲役刑を言い渡した。
4月24日付米
『AP通信』:「香港民主化運動指導者に実刑判決」
香港法院(地裁に相当)は4月24日、2014年に発生した反政府民主化運動の指導者に対して、公的不法妨害罪で最高16ヵ月の懲役刑を言い渡した。
今回の判決は、中国中央政府の圧力によって香港自治に制限が加えられようとしている最中、それに反対する運動を鎮静化させることに繋がりかねない。
被告の一人である民主活動家のラファエル・ウォン(黄浩銘)は、8ヵ月の懲役刑であったが、同法院のジョニー・チャン裁判官に対して、世界で広く行われている選挙制度を勝ち取るための運動は、全く変わることなく続けられる、と述べた。...
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4月24日付米
『AP通信』:「香港民主化運動指導者に実刑判決」
香港法院(地裁に相当)は4月24日、2014年に発生した反政府民主化運動の指導者に対して、公的不法妨害罪で最高16ヵ月の懲役刑を言い渡した。
今回の判決は、中国中央政府の圧力によって香港自治に制限が加えられようとしている最中、それに反対する運動を鎮静化させることに繋がりかねない。
被告の一人である民主活動家のラファエル・ウォン(黄浩銘)は、8ヵ月の懲役刑であったが、同法院のジョニー・チャン裁判官に対して、世界で広く行われている選挙制度を勝ち取るための運動は、全く変わることなく続けられる、と述べた。
そして、金融街を占拠すべく“オキュパイ・セントラル”なる活動団体を率いたとして、香港大学法学部准教授のベニー・タイ(戴耀廷)、同大社会学部元教授のキンマン・チャン(陳健民)、及び元牧師のユーミン・チュー(朱耀明)に対して、懲役16ヵ月が言い渡された。
同罪に伴う禁固刑は、最高7年まで有り得るものの、16ヵ月とは言え、実際に懲役刑が下されたことで、民主活動を抑え込もうとする中国中央政府の意向に与するものとみてとれる。
国際NGO人権監視団香港支部のマヤ・ワン主任研究員は、今回の判決は、香港における民主化運動に深刻な影響を及ぼすとコメントしている。
更に同研究員は、中国中央及び香港特別行政区政府双方が、自由主義を香港から締め出そうとしており、今後、香港管轄法を変更して、中国中央政府意向に抗う被疑者を中国本土に送致できるようにしようとしているとする。そうなれば、当然、益々不公平な裁判が行われることになりかねないと危惧している。
なお、習近平(シー・チンピン)国家主席は、香港返還に当って英国に約した「一国二制度」を変更すべく、香港における様々な市民活動への制限を厳しくしてきている。
そのため、経済界や弁護士協会、更には人権団体やメディアからも強い批判の声が上がっている。
一方、台湾の首都台北において、今回の判決について不当だと批判する若者グループのデモ行進が行われた。
香港と同様、台湾に対しても、中国中央政府の弾圧が高まっていることから、香港における民主化運動を罰する動きに反対を表明したものとみられる。
デモ隊は、“オキュパイ・セントラル”運動は違法ではない、とか、香港政府は不当だ、と連呼して行進した。
同日付フランス『AFP通信』:「香港、“雨傘運動”デモ発起人に禁固1年4ヵ月の実刑判決」
香港の選挙制度の民主化を求めた、2014年の大規模デモ“雨傘運動”に関わる裁判で、香港法院は4月24日、デモの発起人であるとして、有罪判決を受けていた大学教授ら4人に対して、最高で禁固1年4ヵ月の実刑判決を下した。
“雨傘運動”で起訴されていた民主派の活動家リーダーら9人は、今月9日の裁判で、英植民地時代の法律に基づいて、公的不法妨害の罪に問われていた。
(注)雨傘運動:2014年9月26日より香港で行われた、香港特別行政区政府に抗議をするデモ活動。「一国二制度」の下、高度な自治が認められている香港では、2017年香港特別行政区行政長官選挙から、1人1票の「普通選挙」が導入される予定であった。ところが中国の全国人民代表大会常務委員会(中国の最高決定機関)は2014年8月、行政長官候補は指名委員会の過半数の支持が必要であり、候補は2、3人に限定すると決定。これに対して、香港の民主化団体の「学民思潮」などが、指名委員会の多数は親中派で占められるため中央政府の意に沿わない人物の立候補を事実上排除する方針として、学生を動員して授業のボイコットを開始し、それが香港中に広がったもの。
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