米調査機関のピュー研究所(Pew Research Center)は22日、世界27カ国で実施した各種の調査結果を公表したが、その内の1つ「宗教が社会で果たす役割」の調査では、役割拡大に賛成する米国人が51%だったのに対し、日本人は15%と全ての国で最低だった。
『AFP通信』などが報じた同研究所の調査は、宗教が社会で果たす役割の他、多様性、性別による平等、家族に関する意識について分析を行っており、2018年に27カ国で各々少なくとも1,000人を対象に、直接の面談または電話による聴取によって行われた。
宗教が社会で果たす役割については、信仰する宗教の区別なく調査したが、これによると、米国では、社会で宗教がより大きな役割を果たすのが望ましいとする人の割合は51%で、望ましくないと反対する人は18%だった。...
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『AFP通信』などが報じた同研究所の調査は、宗教が社会で果たす役割の他、多様性、性別による平等、家族に関する意識について分析を行っており、2018年に27カ国で各々少なくとも1,000人を対象に、直接の面談または電話による聴取によって行われた。
宗教が社会で果たす役割については、信仰する宗教の区別なく調査したが、これによると、米国では、社会で宗教がより大きな役割を果たすのが望ましいとする人の割合は51%で、望ましくないと反対する人は18%だった。米国は政教分離の国だが、宗教は日常生活で重要な役割を果たしており、大統領は聖書を用いて就任の宣誓をするのが伝統であり、紙幣には「我々は神を信じる」と印刷されている。しかし、世代間による意識の差が大きく、50代以上では61%が役割拡大に賛成だが、18~29歳では賛成は39%にとどまる。
一方、欧州のスウェーデン、フランス、オランダでは、米国と対照的な結果となり、宗教の役割拡大に賛成、反対する人の割合は、それぞれ20%:51%、24%:47%、28%:45%と反対する人の方が大幅に多くなった。世界全体では宗教の役割拡大に賛成する人が多いが、欧州では国により考え方に差異がある。
調査対象の27カ国の内、宗教の社会での役割拡大に賛成する人の割合が一番高かったのは、インドネシアの85%で、これにケニアとナイジェリアの74%が続いた。逆に最も低かったのは日本の15%で、スウェーデンの20%、スペインの23%の順となった。
宗教の役割拡大に賛成する人と反対する人の割合は、通常一方が増えれば、他方が減る相関関係にあるが、日本は賛成が15%と27カ国中最低であるにもかかわらず、反対も10%と非常に低く、どちらとも答えない言わば無関心層が非常に多いのが特徴だ。
同調査では、宗教の役割拡大の賛否を問う前提として、現在宗教が果たしている役割の大きさについて尋ねている。これによると、特に北米や欧州諸国では、宗教の果たす役割が過去と比べて「縮小した」とする回答が「拡大した」より多かった。日本も同様だったが、「変わらない」の割合が過半数の56%を占め、他の国を引き離して最も多かった。
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