欧州議会は4月16日、「Common Identity Repository」(CIR)と呼ばれる世界最大規模のバイオメトリクス(生態認証)データベースの構築を、法案として可決した。2年後に稼働することを目標としており、 3億5000万人のヨーロッパおよび非ヨーロッパ市民の情報を保管することになる。
『BFM tv』によると、欧州議会は、「より良くテロと闘うために、巨大なデータベースの構築に投資することにした。データベースには、名前、生年月日、パスポート番号だけでなく、指紋と写真付きIDも含まれる。」
「データベースに統合されるものは、シェンゲン情報システム、(ダブリン条約の下でどの加盟国が庇護申請を管理する必要があるかを決定する)ユーロダック、ビザ情報システム、そして更に3つの新しいシステム、第三国国民に関する欧州刑事記録システム(ECRIS-TCN)、入出国管理システム(EES)、そして欧州旅行情報および承認システム(ETIAS)である。...
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『BFM tv』によると、欧州議会は、「より良くテロと闘うために、巨大なデータベースの構築に投資することにした。データベースには、名前、生年月日、パスポート番号だけでなく、指紋と写真付きIDも含まれる。」
「データベースに統合されるものは、シェンゲン情報システム、(ダブリン条約の下でどの加盟国が庇護申請を管理する必要があるかを決定する)ユーロダック、ビザ情報システム、そして更に3つの新しいシステム、第三国国民に関する欧州刑事記録システム(ECRIS-TCN)、入出国管理システム(EES)、そして欧州旅行情報および承認システム(ETIAS)である。」
巨大なデータベースの構築は、欧州連合加盟国の出入国管理機関や法執行機関の担当者が各データベースをバラバラに検索する手間を省き、検索を容易にすることを主要目的としている。そして、不法移民、犯罪および身分詐称との闘いを改善する方法として期待されている。
『ZDNet』によると、このCIRが稼働すれば、中国政府が利用しているシステム、そしてインドの「アドハー」システムに次ぐ、世界最大級の住民管理データベースになる。
このようなバイオメトリクスデータベースは米国でも、税関、国境警備局と連邦捜査局(FBI)で運用されている。
しかし一方で「このデータベースの存在は、法執行機関に移民と犯罪者を追跡するためのより優れた道具を提供する必要性によって容易に正当化できる。しかし、EU域内を旅行する観光客など、犯罪捜査の対象になっていない人々をも追跡できるようにシステムが徐々に拡張されるのではないかという恐れが常にある。」
また『BFMtv』によると、昨年フランス「RFI」が報じたように、インドの「アドハー」データベースは、セキュリティ上の欠陥について定期的に指摘を受けている。
1人の女性ジャーナリストが、仲介者に10ユーロ(約1250円)程度支払い、10億人もの個人情報を収集するインドのアドハーシステムにアクセスすることが出来たのである。
そのため、CIR批判派は、不変であり慎重な扱いを必要とするバイオメトリクスデータの集中化は、ハッキング攻撃の被害を大きくすることになるとも懸念している。
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