消失の速度は膨大なものだ。毎分フットボール場30個分が2018年の間に失われた。その合計は12万平方キロメートルとなる。メリーランド大学の「Global Forest Watch」の科学者の年間評価によれば、そのほぼ三分の一の36,000平方キロメートルは太古からの原生雨林である。
「初めて、自然のままの原生雨林に消失が認められた。これらの雨林には何百年、何千年前の木々が含まれている。...
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消失の速度は膨大なものだ。毎分フットボール場30個分が2018年の間に失われた。その合計は12万平方キロメートルとなる。メリーランド大学の「Global Forest Watch」の科学者の年間評価によれば、そのほぼ三分の一の36,000平方キロメートルは太古からの原生雨林である。
「初めて、自然のままの原生雨林に消失が認められた。これらの雨林には何百年、何千年前の木々が含まれている。」とチームマネージャーのミカエラ・ワイセがAFP通信に語った。
雨林は地球上最高の自然動物の宝庫であり、地球温暖化を招く二酸化炭素を吸収する重要なスポンジである。
国内および国際的な対策が数多く取られているにも関わらず、森林破壊は今世紀の初めからほとんど勢いを減ずることなく続いている。
世界的な森林消失は2016年に最大となった。これは一部にはエルニーニョ現象とブラジルとインドネシアの大火災より促進されたものである。
森林破壊を起こしている首謀者は畜産業と大規模な商業的農業、つまりアジア、アフリカにおけるヤシ油や南アメリカにおける大豆やバイオ燃料用穀物の栽培である。例えばカカオ栽培のような小規模な商業的農業も森林伐採に繋がる。
2018年の熱帯林消失の四分の一がブラジル、コンゴ民主共和国、インドネシアで起こっており、コンゴ民主共和国、インドネシアは各々およそ10パーセントを占める。マレーシアとマダガスカルでも昨年高いレベルの森林破壊が起こっている。原生林破壊のほぼ三分の一がブラジル(13,500平方キロメートル)、コンゴ民主共和国(4,800平方キロメートル)、インドネシア(3,400平方キロメートル)、コロンビア(1,800平方キロメートル)そしてボリビア (1,500平方キロメートル)で起こっており、上位5か国となる。マダガスカルは自国の雨林全体の2パーセントを2018年に失った。
―期待の場所、インドネシア―
「世界の森林はいま救急処置室にいる。」とWorld Resources Instituteの著名な上級研究員のフランシス・シーモアはいう。World Resources Instituteはワシントンを拠点とする環境政策のシンクタンクである。「地球の健康は危機に瀕していて、対応は十分ではない。」「1ヘクタールが失われるごとに、気候変動の可能性が高まるという恐ろしいシナリオに近づいていくことになる。」
地球全体で、人間が排出する温室効果ガスの30パーセントを森林が吸収する。年間ちょうど110億トンの二酸化炭素となる。海も重要で、23パーセントを吸収する。熱帯林を燃やしたり、伐採することは、大気中に炭素を放出するだけでなく、二酸化炭素を吸収できるスポンジの大きさを減らすということでもある。期待できる場所のひとつがインドネシアである。2018年に原生林3,400平方キロメートルを失ったが、2016年に比べ63パーセント減少している。2015年には、スマトラ、ボルネオやほかのインドネシアの島で2万平方キロメートルに及ぶ大規模な森林火災があり、東南アジア一帯に健康被害を及ぼす汚染が発生した。
ブラジルではしかし、状況は悪い方向に向かっている。「我々のデータから2016年と2017年に森林消失の大きなピークが見られるが、これは人間が原因の火災に関連したものだ。」とブラジルについてワイセが語った。「恐ろしいことに、いままで森林消失のなかった先住民居住地に森林消失が見られる。」
今年1月に就任したブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領は環境規制を緩和し、先住民居住地での商業的農業や採鉱を許可すると宣言した。同居住地はブラジル全土の10パーセントを占める。研究者たちは、ボルソナーロは彼の政策が森林破壊に及ぼす影響を評価できるまで、大統領の座に留まることはないだろうと強調している。レポートについてブラジル外務省は、「ブラジルは農業生産と環境保護をしっかりと調整している」とAFP通信に語った。
一方、西アフリカでは、70パーセントの原生林消失がガーナとコートジボワールの保護地区で発生しており、規制強化が指摘されている。
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