ロシア議会の国家院(下院に相当)は2月中旬、国内のインターネット通信を国外のサーバーから切り離すことを可能とする「インターネット隔離法(注後記、政府側説明はインターネット主権法)」を採択した。そしてこの程、ウラジーミル・プーチン大統領が同法案に署名し、米国によるロシア国内ネット・インフラへのサイバー攻撃の脅威に対抗する手段を整えるとした。当然のことながら、野党含めた反プーチン派等からは、北朝鮮のように、言論の自由を奪い、かつ反政府的な動きを取り締る意図を示す一方的な規制だとの非難の声が上がっている。
5月1日付米
『CNNニュース』:「プーチン大統領、ロシア独自のインターネット環境を構築する法案に署名」
ウラジーミル・プーチン大統領は5月1日、国内のインターネット通信を国外のサーバーから切り離し、ロシア独自のネット環境を作り上げることを可能とする「インターネット隔離法」案に署名した。
ロシア国営メディア『RIAノーボスチ』によれば、同法は今年11月に発効することになるとし、ロシア政府の説明として、“持続可能で保障され、かつ機能的”な国内インターネット環境が保証される、と報じている。...
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5月1日付米
『CNNニュース』:「プーチン大統領、ロシア独自のインターネット環境を構築する法案に署名」
ウラジーミル・プーチン大統領は5月1日、国内のインターネット通信を国外のサーバーから切り離し、ロシア独自のネット環境を作り上げることを可能とする「インターネット隔離法」案に署名した。
ロシア国営メディア『RIAノーボスチ』によれば、同法は今年11月に発効することになるとし、ロシア政府の説明として、“持続可能で保障され、かつ機能的”な国内インターネット環境が保証される、と報じている。
また、同メディアによれば、ネット環境の監視・管理はロシア通信規制当局ロスコモナゾールが行い、必要に応じて外部のネット通信を遮断することができ、一方で、当局や国営企業に関わる情報は暗号化されてサイバー攻撃に耐えられるようになるという。
なお、活動家等は、本法によって、中国で実施されているようにインターネット監視・検閲が強化され、反政府活動が規制されると批判している。
何故なら、同法に基づき、インターネットの自由度が制限され、また、政府高官を侮辱したり、フェイクニュースを流したと認定された人を逮捕・投獄することが可能となるからである。
同日付ロシア『タス通信』:「プーチン大統領、ロシアのインターネット環境の信頼性確保するための法案に署名」
5月1日付で当局ウェブサイトに公表されたところによれば、外部からのサイバー攻撃等によって、ロシアのインターネット通信が脅かされる恐れがある場合、ロスコモナゾール(ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁、2008年設立)が通信を一元的に管理・監視することが可能となる。
ロスコモナゾールが監視対象としたインターネット通信について、同局の所属官庁である通信・マスコミ省の報告を受けて、担当閣僚が協議の上、当該通信の遮断等、適切な対応を取ることになる。
なお、ロスコモナゾールに当該通信情報が集まるよう、当局から各プロバイダーに対して、必要な機器が無償で供給されるという。
(注)インターネット隔離法:法案の目的は、米国がサイバー空間でロシアのネットワークを脅かす行動に出た場合に「ロシアのインターネット通信の長期的かつ安定的な機能を確保する防御機構」を設けること。法案は「インターネット通信の経路を確保・制御する」中核施設の創設を提案。また、「脅威に耐えるための技術的施策」の導入をインターネット接続業者(プロバイダー)に求めていくとしている。
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