医学誌「ザ ランセット」で発表された調査によると、世界のアルコール消費量は約30年で70%増加した。現在アルコール消費量トップはヨーロッパ。しかし、インド、中国、ベトナムなど、中所得国の国々でアルコール消費量が増えており、2030年には、世界のトップアルコール消費地域はヨーロッパではなくなる可能性が高い。
今回の調査結果を主執筆したドレスデン工科大学の臨床心理学研究者Jakob Mantheyは、
『The Independent』で、「アジアの大部分でアルコール飲料の摂取が急増している一方で、ヨーロッパの多くの人々は消費が落ちている」と述べている。
「1990年以前は、ほとんどのアルコールは高所得国で消費されていた。最も消費が高かったのはヨーロッパだった。しかし、このパターンが大きく変化した。...
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今回の調査結果を主執筆したドレスデン工科大学の臨床心理学研究者Jakob Mantheyは、
『The Independent』で、「アジアの大部分でアルコール飲料の摂取が急増している一方で、ヨーロッパの多くの人々は消費が落ちている」と述べている。
「1990年以前は、ほとんどのアルコールは高所得国で消費されていた。最も消費が高かったのはヨーロッパだった。しかし、このパターンが大きく変化した。東ヨーロッパ全体で大幅な消費量減が見られ、中国、インド、ベトナムなどの中所得国で大幅に増加している。」
そして「この傾向は2030年まで続くと予測され、ヨーロッパではもはやアルコール消費量トップではなくなると予測される。」
『BFMTV』によると、189カ国からのデータを分析した結果、世界の成人は、1990年には1人当たりの純アルコール年間消費量は平均5.9リットルだった。しかし、2017年には1人当たり年間6.5リットルに増加している。そして2030年までには年間7.6リットルに達すると予想されている。
地域別に数字を見ていくと、現在1人当たりのアルコール消費量トップのヨーロッパは、実は27年間で20%減っている。反面、現在1人当たりの年間消費量が7.4リットルの中国は、いくつかのヨーロッパの国よりも高い消費量となっている。
東南アジア全体では、年間消費量は1990年から2017年の間に倍増し、1人当たり4.7リットルに達している。また中国、日本、オーストラリアを含む「西太平洋」地域では54%増加した。北アフリカと中東では消費量の推移は安定しており、成人1人当たり年間1リットル未満と限られた消費量となっている。
また『AFP』によると、2030年には、世界人口のほぼ4分の1(23%)が月に1回以上、大量アルコール飲酒(少なくとも標準的コップ6杯、つまり少なくとも60gの純アルコールの飲酒)を経験すると予測されている。 2017年には20%、1990年には18.5%であった。
この傾向は、2025年までに「有害なアルコールの使用」を10%削減するという世界保健機関(WHO)の目標を損ねている、と主執筆者のJakob Manthey氏は警告している。 そしてアルコールの健康上の負担は「他の危険因子と比較して恐らく増加する」と述べた。
WHOによると、年間300万人がアルコールの有害な摂取により死亡しており、その4分の3以上は男性である。 この数字には、アルコール飲酒による交通事故で死亡した人、または暴力的行為で死亡した人が含まれている。
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