国務省のモーガン・オータガス報道官によれば、ポンペオ長官は10日ワシントンD.C.いる必要があり、訪問を延期せざるを得なかったという。国務省幹部によれば、ポンペオ長官はイラン関連の会議出席のためワシントンに早く戻る決断をした。9日の金正恩政権のミサイル発射実験を受け、北朝鮮についても話し合われるだろう。
イラク駐留の米軍に対するイランとその代理である武装勢力による「差し迫った」そして「拡大する」脅威を情報機関が示唆してから、トランプ政権はイランに対し強いメッセージを送ろうとしている。ポンペオ長官は、ベルリンでのアンゲラ・メルケル独首相とハイコ・マース外務相との会談をキャンセルした。イラク指導部に、イラク在住のアメリカ人の安全確保の重要性と、イラク国内の、イランの援助を受けたシーア派武装勢力の抑制の重要性を強調するためだ。
以前より計画されていたグリーンランド訪問は、一部には、ポンペオ長官が再び、北極における米国のリーダーシップを主張し、中国の影響を警告するためものだとされている。しかし、この試みには、ポンペオ長官の6日フィンランドでの気候変動に関する発言が影を差している。その発言は、北極の氷の融解を経済上の好機として歓迎するように思われるものだ。
「北極で着実に海氷が融解すれば、新しい航路が開かれ、貿易の新しい機会が訪れる。」と北極評議会サミットの講演の中でポンペオ長官は語った。「北極海航路は重要なものとなり、21世紀のスエズ運河、パナマ運河となるだろう。」
オータガス報道官は、「可能ならグリーンランド訪問を再設定する。米国はグリーンランドとの恒久的な外交関係の回復を始める。」と語った。
「デンマーク議会と協働し、可及的速やかに始めたいと思っている。」と報道官はいう。グリーンランドはデンマークの自治領である。
ポンペオ長官は、先月、気候調査を行う科学者を支援するためにグリーンランドに派遣されていたニューヨーク空軍州兵と会談した。米空軍によれば、この任務は、アメリカ国立科学財団の科学者がグリーンランドの氷帽とその融解の状況を調査するために、スキーを装備した飛行機を使い、燃料、貨物、人員をグリーンランド全土におよぶ多数の調査キャンプに輸送するものである。
ポンペオ長官は、アメリカ国立科学財団の科学者自身とは会談を予定していなかった。
米国防総省は年次報告書で、気候変動は安全保障上の脅威であると述べている。
しかし、ポンペオ長官は、フィンランドのスピーチでこの問題についてはそっけなく、「気候変動」という言葉も使わず、温室効果ガス排出量削減の国際的な試みを退けた。
「全体目標は、よく考慮されてるとしても、それが常に答えだというわけではない。1国が達成できなければ、全体目標は意味がなく、反生産的とされいえるものになる。」と7日の北極評議会サミットにおいて、ポンペオ長官は述べた。
ポンペオ長官は、人間が地球温暖化を招いていると思うが、国際合意はこの問題に対応するにはいい手段ではなく、米国の費用負担も大きすぎると語った。このため、米国は気候変動に関するパリ協定に言及した北極評議会サミットの共同宣言にも反対した。この歴史的な協定は2016年に採択され、各国が炭素排出量の削減目標を設定するものだ。しかしトランプ大統領はこの協定からの離脱を開始した。
共同宣言に替えて、気候変動には触れず、参加国が「持続可能な開発と北極の環境保護に対するコミットメント」を再確認するという短い共同声明を採択した。
現北極評議会サミット議長であるティモ・ソイニフィンランド外相は失望を表し、「慣例の共同宣言は今回できなかった。」と語った。しかし、特定の国を非難することはなく、「気候問題に関しては、各国がそれぞれの立場からそれぞれ違った問題として捉えていることは明らかだ。」とした。
国務省高官は、報道された米国の立場は「フェイク・ニュース」だと記者団に語った。「そんなことはいっていないのに、米国が反環境保護的な立場にあるように推測することはできない。」
彼らはもっと踏み込み、気候変動自体を否定したいようだ。「気候が変動するのは、自明の理だ。」と高官は記者団に語った。
ポンペオ長官は6日、逆に、米国の炭素排出量削減を主張した。2006年から2017年の間に米国の排出量は、14パーセント削減したと語った。これは科学研究、技術、安心安全なエネルギーインフラの建設、経済成長により達成されたもので、環境をさらに危うくするだけの厄介な規制により開発を阻害しない方法で達成されたものだと語った。
しかし、この排出量削減はオバマ政権が導入したエネルギー規制によるもので、この規制には車のより高い燃料効率基準の設定、石油、ガス開発の制限などが含まれていると環境保護団体を言っている。
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