米疾病対策センター(CDC)は先週15日、2018年の米国の出生数を公表したが、過去32年で最低を記録したことが明らかになった。但し、母親の年齢層別の出生率は、30代後半と40代前半では増加していることも判明した。
『CNN』『AFP通信』『FOXニュース』などが報じたCDCの報告書によれば、米国の出生数は、世界金融危機前の2007年に最後のピークを迎えたが、それ以降の11年のうち、2014年を除いた10年で減少しているという。
2018年には378万8,235人の新生児が誕生したが、これは1986年以降で最低となった。15歳から44歳の米国人女性では、1,000人につき59人の出生数となり、これは2%の減少となる。...
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『CNN』『AFP通信』『FOXニュース』などが報じたCDCの報告書によれば、米国の出生数は、世界金融危機前の2007年に最後のピークを迎えたが、それ以降の11年のうち、2014年を除いた10年で減少しているという。
2018年には378万8,235人の新生児が誕生したが、これは1986年以降で最低となった。15歳から44歳の米国人女性では、1,000人につき59人の出生数となり、これは2%の減少となる。
1人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数を示す指標「合計特殊出生率」についても2%減少し、2018年は1.7だった。これは移民の受け入れなしに人口を維持するための2.1を大きく下回る。出生率は、日本、イタリア、ドイツなどの他の先進国より高い水準を保ってはいるが、米政府が1909年に統計を取り始めて以来、最低を記録した。
母親の年齢層別の出生率は、35歳未満では全年齢層で減少した。10代後半で7%、20代前半で4%、20代後半で3%、30代前半で1%の減少と、特に若年層での減少が目立つ。一方、30代後半では1%、40代前半では2%増加した。この年代の出産増については、多くの若者が金融危機で出産を遅らせた影響が残っていると説明する専門家もいる。
本報告書は、CDCの一部門である全米保健医療統計センターの出生証明書データを基にしており、統計がまだ暫定的であるため、後日確定版が出される。出生数や出生率以外の項目については、早産の率が4年連続で上昇し、2018年には10%強に上った。また、帝王切開率は31.9%に低下したが、同割合は2009年にピークとなり、18年はそれ以降で最低水準となったことなどが記されている。
同報告書は出生率の全体的な傾向を示しているが、低下の理由については明言していない。これについて専門家は、経済面での不安定さの継続を理由の1つに挙げた。金融危機は2009年に事実上収束し、雇用情勢も改善しているが、パートタイム労働者や学業を続けながら就業中の労働者などを中心に、将来の経済への不安感が根強く残っており、学生ローンの返済に追われる人も多いとの指摘がなされている。
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