ドナルド・トランプ大統領は、米保守系メディアのインタビューに答えて、習近平(シー・チンピン)国家主席に対して、米中貿易交渉で米国側有利な条件でなくば決して妥結しないと伝え、その結果として中国製品への追加関税賦課を決断したとの経緯を明らかにした。また、追加関税逃れのため、多くの企業が生産拠点をベトナム他に移転させる可能性にも言及した。これについて英国メディアは、“ベトナム製”としても結局中国企業に関係する製品であれば、米政府が追加関税を課す恐れがあると報じている。
5月20日付米
『ロイター通信』:「トランプ大統領、対中追加関税でベトナム移転があっても、米中貿易交渉を50:50で決着させることはないと断言」
保守系メディア『Foxニュース』は5月19日、先週収録したドナルド・トランプ大統領のインタビュー番組を放送した。
その中で同大統領は、5月10日に行われた米中閣僚級貿易交渉の直前、習近平国家主席に対して、これまで米国が中国貿易で不利益を被ってきたことから、“50:50”での決着はあり得ず、あくまで米国側が有利な条件でなくば合意はないと伝えたことを明らかにした。...
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5月20日付米
『ロイター通信』:「トランプ大統領、対中追加関税でベトナム移転があっても、米中貿易交渉を50:50で決着させることはないと断言」
保守系メディア『Foxニュース』は5月19日、先週収録したドナルド・トランプ大統領のインタビュー番組を放送した。
その中で同大統領は、5月10日に行われた米中閣僚級貿易交渉の直前、習近平国家主席に対して、これまで米国が中国貿易で不利益を被ってきたことから、“50:50”での決着はあり得ず、あくまで米国側が有利な条件でなくば合意はないと伝えたことを明らかにした。
結局、直近の米中貿易交渉では合意が得られず、同大統領は即日、2,000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に掛ける関税率を、従来の10%から25%に上げることを決めている。
同インタビューは5月12日に収録されたものだが、その際同大統領は、米国側は合計1,000億ドル(約11兆円)余りの関税収入が得られる訳で、結局首を絞めることになるのは中国側だとうそぶいている。
なお、同大統領はまた、(関税逃れのために)生産拠点を中国からベトナム等労賃の安い他アジア諸国に移転する企業が出ることも承知していると付言した。
同日付英国『BBCニュース』:「米中貿易紛争の煽りで、追加関税逃れのためベトナムへの移転の動き」
米国政府が、中国製品に追加関税を賦課することを決定したことから、多くの製造業者が中国から他のアジア諸国へ生産拠点を移転させる動きが出ている。
その恩恵を最も受けているのがベトナムである。
実際、米政府が昨年9月に初めて中国製品への関税賦課を決定する以前から、生産拠点を中国からベトナムに移転する動きが出ていた。
それは、中国における労賃の急上昇によって、労賃が安くかつ事業環境が整っていたベトナムが移転先として注目されたからである。
そして、米中貿易紛争が深刻化する中で、中国企業によるベトナム向け投資も増えていった。直近の1~4月の対ベトナム投資額は、2018年1年間の65%にも達している。
但し、米政府は、追加関税逃れのために、生産拠点を中国からベトナムに移転している企業が多くいることを承知している。
従って、仮に“ベトナム製”とのラベルが付いても、結局中国企業に関わる製品となれば、追加関税賦課適用となる可能性があるかも知れない。
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