経済協力開発機構(OECD)は21日、最新の経済見通しを発表したが、2019年の世界経済の成長率を3.2%と予測し、3月の前回予測から0.1ポイント引き下げた。OECDは貿易摩擦の中長期的な影響を懸念し、各国に持続的成長のための対話と行動を促している。
『AFP通信』『ロイター通信』などの報道によれば、OECDは2019年の世界経済の実質成長率を3.2%と予測したが、これは16年以降で最低の数字であり、3月時点の前回予測3.3%を0.1ポイント下方修正した。18年の3.5%成長から減速する。20年は3.4%とやや回復すると予測しているが、米中の貿易摩擦が収束すればという条件付きだ。
OECDの最新の経済見通しは、米中貿易摩擦の直近までの状況を直接反映していない。...
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『AFP通信』『ロイター通信』などの報道によれば、OECDは2019年の世界経済の実質成長率を3.2%と予測したが、これは16年以降で最低の数字であり、3月時点の前回予測3.3%を0.1ポイント下方修正した。18年の3.5%成長から減速する。20年は3.4%とやや回復すると予測しているが、米中の貿易摩擦が収束すればという条件付きだ。
OECDの最新の経済見通しは、米中貿易摩擦の直近までの状況を直接反映していない。関税が課される期間や、両国の貿易関係の将来の進展についての不透明感が依然として大きいためだ。但し、貿易摩擦が長引くことを懸念して、その不透明性について、ある程度調整した数字になっているという。
OECDは、国際的な協力関係により貿易上の論争を解決するよう呼びかけた。アンヘル・グリア事務総長は会見で、米中両国が意見の相違を解決することが必須だとしたが、「緊急に必要なのは、複数国家がテーブルに着き、貿易が世界の成長と福利を引き続き下支えするよう条件を整えることだ。」と多国間の対話を推進し、共同行動を取るよう訴えた。
米国の2019年の成長率については、中国に対する追加関税を考慮せず、2.8%と0.2ポイント上方修正したが、20年には2.3%に下がると予測した。18年は2.9%だった。中国の19年の成長率は6.2%、20年は6.0%と予測しており、18年の6.6%から後退して、過去30年で最低水準にまで減速するとした。OECDは、両国の成長率は、貿易摩擦が長引けば、21~22年までに平均で0.2~0.3ポイント低くなる可能性があると見積もっている。
欧州ユーロ圏については、貿易停滞の影響を受けるものの、19年の成長率を1.2%と予測した。20年は1.4%に回復する。イタリアの経済状況がこれまでの予測ほど悪化しないことなどにより、前回予測時のそれぞれ1.0%、1.2%を0.2ポイントずつ引き上げたが、それでも18年の1.8%を下回っている。
日本の2019年と20年の成長率は、それぞれ0.7%、0.6%と予測しており、3月時点から0.1ポイントずつ下方修正した。OECDは、貿易摩擦が輸出依存型の日本経済に影響をもたらすとしており、18年の0.8%から成長が減速すると説明した。
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