国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は28日、北朝鮮では現在、食料や衣料品などの生活必需品の入手を非合法の自由市場に依存しており、人権侵害や賄賂の横行などの問題につながっていると指摘した。OHCHRは北朝鮮政府に対し、売買を行う合法的な枠組みを構築し、問題を解決するよう要求している。
『AFP通信』や韓国の
『聯合ニュース』が報じたところによると、北朝鮮では1990年代半ばに公的な配給制度が崩壊して以来、国民の約75%が、私的な自由市場での商業活動に依存していると人権団体などは見積もっているという。
しかし、OHCHRは28日に韓国・ソウルで発表した報告書で、そうした商業活動が広く普及しているにも関わらず、北朝鮮では非合法であるため、適正な法手続きが取られず、当局者の汚職や関係者の訴追、さらに人権侵害につながっていると指摘した。...
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『AFP通信』や韓国の
『聯合ニュース』が報じたところによると、北朝鮮では1990年代半ばに公的な配給制度が崩壊して以来、国民の約75%が、私的な自由市場での商業活動に依存していると人権団体などは見積もっているという。
しかし、OHCHRは28日に韓国・ソウルで発表した報告書で、そうした商業活動が広く普及しているにも関わらず、北朝鮮では非合法であるため、適正な法手続きが取られず、当局者の汚職や関係者の訴追、さらに人権侵害につながっていると指摘した。
OHCHRの報告書は、2017~18年に韓国で行われた、主に北東部出身の脱北者214人の聞き取り調査に基づいている。公的配給制度以外の非合法の市場での商業活動は、人々が食料や衣料品などの生活必需品を確保する唯一の方法となっているが、同国政府は合法化した仕組みとしていないと批判した。報告書は、「北朝鮮では、公的配給制度が崩壊したが、不安定で非公式な業界があり、国民は訴追や汚職の危険にさらされている。」と述べている。
国連のダニエル・コリンジ人権委員は、市場での活動に従事する北朝鮮国民は、政府当局によって逮捕や拘留される可能性があるとしている。また、恣意的な逮捕やその後の厳しい追及などの脅威によって、当局者らの権力が強まっており、賄賂が渡されるケースが横行していると説明した。
OHCHRは、こうして腐敗した当局者らに賄賂を払う意思や財力のある人々だけが、一定の生活基準を確保できることになるとして、北朝鮮政府に対し、抜本的な法的・制度的改革を行うよう促している。
北朝鮮は、人権を擁護し、国民の生活水準向上に取り組んでいると主張している。同国の国連外交使節団は、スイスのジュネーブで報告書についてコメントし、「作り話以上の何物でもない。」と批判。この手の報告書は、脱北者の証言によるものが殆どであり、彼らは生計を立てるため、または強迫や誘惑を受けて、事実でない情報を伝えると反論した。
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