米国務省は21日、世界各国の信教の自由に関する年次報告書(2018年版)を発表した。国務省は今回の報告書に、中国のイスラム教徒少数民族ウイグル族らが居住する新疆ウイグル自治区に関する項目を新設し、同地区での信教の自由の侵害への懸念を表明した。
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『ワシントン・ポスト』や
『ボイス・オブ・アメリカ』、
『CNN』などのメディアが報じた。同年次報告書は、米国以外の世界各国における宗教的な信条や慣習を侵害する政策についてまとめたものであり、宗教的な信念や信仰する宗教のために収監され、獄中で殺害、強制失踪、臓器摘出などの処罰を受ける宗教的少数派の人々を取り上げている。
報告書は、米国と中国・イランなどとの緊張が高まる中で公表された。米国務省で国際的な信教の自由を担当するサミュエル・ブラウンバック大使は、公表にあたって、「米国が信教の自由を促進するため、現在ほど重要な時期はない。...
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『ワシントン・ポスト』や
『ボイス・オブ・アメリカ』、
『CNN』などのメディアが報じた。同年次報告書は、米国以外の世界各国における宗教的な信条や慣習を侵害する政策についてまとめたものであり、宗教的な信念や信仰する宗教のために収監され、獄中で殺害、強制失踪、臓器摘出などの処罰を受ける宗教的少数派の人々を取り上げている。
報告書は、米国と中国・イランなどとの緊張が高まる中で公表された。米国務省で国際的な信教の自由を担当するサミュエル・ブラウンバック大使は、公表にあたって、「米国が信教の自由を促進するため、現在ほど重要な時期はない。」と強調した。
米国が信教の自由について特に懸念を持つ国として、中国、イラン、北朝鮮、ミャンマー、ロシア、サウジアラビアなど10カ国が挙げられており、これらの国々は、米国の制裁対象となる可能性がある。トランプ政権は、中国との貿易交渉の継続中は、信教の自由などの人権問題について、同国への圧力を強めているものの、制裁の発動は控えてきた。
今回の報告書は、中国に関する章に新疆ウイグル自治区でのウイグル族などの扱いについて独立の項目を新設し、広範囲にわたる信教の自由の侵害が行われている状況について懸念を表明した。2017年4月以降、中国は自治区で少なくとも80万人、最大で200万人のウイグル族ほかのイスラム少数民族を拘束し、収容所では拷問や裁判なしの長期拘束が横行している。報告書はさらに、中国のキリスト教徒らもますます抑圧を受けており、教会の閉鎖や聖書の焚書、信仰を放棄するよう強要されるなどの迫害が行われているとした。
ポンぺオ国務長官は、記者会見で中国を強く非難し、「中国共産党は創立以来、全ての宗教信仰に対し激しい敵意を示してきた。」と指摘した。また、「我々のような自由な声がそれを記録している限り、こうした虐待行為について歴史は黙っていない。」と述べた。
ブラウンバック大使は、中国への制裁について、新疆ウイグル自治区で宗教的少数派の人々を監視するための監視カメラや顔認証システムなどのメーカーには既に一部の制裁が科されており、米国はしばしば、事態への懸念を公の場で示してきたと説明した。
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