モナコ公国は9日、中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)の技術を利用した第5世代(5G)の移動通信網を全国に開設した。モナコは世界で2番目の小国であるが、一国を網羅する5Gネットワークの展開は欧州で初めてとなる。
『AFP通信』や
『新華社通信』、科学技術紙などの報道によると、昨年9月、フランスの富豪グザヴィエ・ニエル氏が所有するモナコテレコムが、ファーウェイと欧州で初めて国内全土を網羅する次世代の5G通信網を導入する契約を交わしていた。同通信網の開設により、最大毎秒1.4ギガバイトの高速大容量サービスが提供される。
モナコテレコムのエティエンヌ・フランツィ社長は、開設に当たっての式典で、「わが国は、5Gのネットワークで完全にカバーされた(欧州で)最初の国となる。...
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『AFP通信』や
『新華社通信』、科学技術紙などの報道によると、昨年9月、フランスの富豪グザヴィエ・ニエル氏が所有するモナコテレコムが、ファーウェイと欧州で初めて国内全土を網羅する次世代の5G通信網を導入する契約を交わしていた。同通信網の開設により、最大毎秒1.4ギガバイトの高速大容量サービスが提供される。
モナコテレコムのエティエンヌ・フランツィ社長は、開設に当たっての式典で、「わが国は、5Gのネットワークで完全にカバーされた(欧州で)最初の国となる。」と述べた。モナコのデジタル化の責任者フレデリック・ジェンタ氏は、「5Gは4Gの性能を単に改良したのではなく、パラダイムシフトだ。モナコでは、5Gが全ての人の生活の質を向上し、特別な機会を与えてくれることを約束してくれる。」とコメントした。
ファーウェイの郭平(Guo Ping)副会長は、モナコの国土は狭いが、同国内での5G通信網の展開は重要な機会であるとして、多くの地域への展開のきっかけとなり、他の国や通信事業者のモデルを提供してくれると期待感を示した。
ファーウェイの5G移動通信網の展開への参入は、米国が安全保障上の脅威を訴えて同盟国にも同社の技術や製品を採用しないよう呼びかけ、大きな政治問題に発展した。米情報機関は、ファーウェイが中国軍の支援を受け、同社の通信機器が中国の情報機関に競争相手国の通信網へと侵入するバックドアを提供している可能性があると指摘している。
ファーウェイは米国側の主張を否定し、これまでのところ米国もその裏付けとなる証拠を示してはいない。同社は5Gに関して世界で50の契約が成立しており、欧州の事業者とも28契約を締結したと説明している。米国は、先日大阪で行われたG20首脳会議の後、同社への禁輸措置の緩和に向けて動き出した。
モナコテレコムは5月、同国での5G移動通信網にファーウェイの技術を採用することについて、多くの国や通信事業者が同社との契約確定に向けて動いており、既に合意した事例もあると指摘し、モナコテレコムでもシステムを保護するために必要なセキュリティ対策を既に導入したとして、正当性を主張していた。
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