米航空機大手ボーイングは18日、2度の墜落事故を相次いで起こした同社の737MAX型機の運航停止により、世界の航空会社への補償および同型機の生産減などに伴う追加の費用負担が合計で約66億ドル(約7100億円)となると明らかにした。
『AP通信』『AFP通信』などによると、ボーイングは声明で、737MAX型機の運航停止に伴う航空機の納入遅延などに対する航空会社への補償金として、税引き後で49億ドル(約5270億円)を2019年の第2四半期決算に追加費用として計上するとした。また、同型機の生産減により、利益がさらに17億ドル(約1830億円)減少する見通しであることも併せて示した。同社は7月24日に第2四半期の決算を正式に発表する。
ボーイング737MAX型機は、合計346人が死亡した2度の墜落事故の後、3月中旬以降運航を停止しており、同社の評判は大きく傷ついた上、犠牲者の遺族からは多数の訴訟が提起されている。ボーイングは、今秋にも当局から同型機の運航再開の承認を得たい考えだが、今のところ目途は立っていない。
今回発表された追加費用は、これまで把握されていた事故の同社決算への影響に上乗せされる要素だ。同社は4月、737MAX型機の生産減による初期費用の見積もりを少なくとも10億ドル(約1080億円)としていた。
ボーイングが負担する追加費用は、今後もさらに数年間にわたって発生する可能性がある。しかも、直接の支払いだけでなく、将来の航空会社からの同型機発注への大幅な割引や、無料のメンテナンス・サービスの提供などの形態を取る場合も考えられる。
追加費用は主に運航停止に伴うものであり、犠牲者の遺族などへの賠償金の支払いは含まれていない。賠償金は30億ドル(約3230億円)とも見積もられているが、多くが保険で支払われる見通しだという。同社は先月、犠牲者の遺族や事故で被害を受けた地域の支援のため、1億ドル(約108億円)を拠出することを表明した。
ボーイングのデニス・マレンバーグ最高経営責任者(CEO)は、「当社は737MAXを安全に運航再開に導くことに引き続き注力している。」として、「これはボーイングにとって正念場だ。MAXの運航停止は大きな逆風であり、当四半期に把握された財務上の影響は、現在の課題を反映し、将来の財務上のリスクへの対応に役立つものとなる。」と述べた。
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