香港政府は15日、激化する反政府運動や米中貿易戦争の長期化などの影響を考慮し、191億香港ドル(約2600億円)規模の景気対策を発表した。陳茂波(ポール・チャン)財政長官が記者会見で明らかにした。
『ロイター通信』や
『AP通信』などによると、陳茂波長官はこれに先立ち、香港政府は2019年の同地の経済成長率について、当初2~3%と予測していたが、この見通しを0~1%へと下方修正したことを説明している。これは2009年以降で最低の水準だ。
同長官は、景気対策には給与税の還付拡大に加え、高齢者や貧困層への支援、学校に通う子どもを持つ親や中小企業への助成金なども含まれるが、抗議活動から政治的圧力を受けて行ったものではないと強調した。...
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『ロイター通信』や
『AP通信』などによると、陳茂波長官はこれに先立ち、香港政府は2019年の同地の経済成長率について、当初2~3%と予測していたが、この見通しを0~1%へと下方修正したことを説明している。これは2009年以降で最低の水準だ。
同長官は、景気対策には給与税の還付拡大に加え、高齢者や貧困層への支援、学校に通う子どもを持つ親や中小企業への助成金なども含まれるが、抗議活動から政治的圧力を受けて行ったものではないと強調した。
10週間にわたる反政府運動では、デモ隊が警察と衝突し、1997年に香港が英国から中国に返還されて以降最悪の危機がもたらされた。約30の国や地域が香港への渡航注意情報を出しており、中国本土からの観光客を中心に多くの観光客が香港への旅行を取り消し、小売業者は売り上げの急減を予測している。それに加えて地元企業には、長期化する米中貿易戦争や中国の景気減速による影響がある。
香港政府は今回の景気対策発表にあたり、「最近の社会的事件が、小売業、飲食店、観光業などに悪影響を与え、既に弱さを見せていた経済にさらに打撃をもたらした。」と指摘している。香港政府のトップである林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は先週、次の景気停滞があれば、香港経済に「津波」のように打撃をもたらすとして、自らの政権が成長を下支えするために「より大胆」になると表明していた。
香港経済の第2四半期の成長率は、速報ベースで0.6%だったが、低成長となった前四半期を下回り、エコノミストらの予想よりも大幅に低い水準となった。抗議活動が長期化することにより、今後の景気後退が懸念されており、世界で最も高額な不動産市場の1つである香港の同市場にも大きな影響が及ぶ可能性がある。
中国は香港での抗議デモを「テロに近い行為」と述べ、批判を強めている。報道によると、中国政府は香港との境界近くに武装警察の車両を終結させており、中国が大規模な抗議活動を直接鎮圧するのではないかとの見方が広がっている。
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