米国の消費動向の指標とも言われるウォルマートが第2四半期(5-7月)の決算を発表した。既存店売上高は前年同期比2.8%増加となった。また下期の見通しも引き上げ、事業環境を楽観的に見ていることを示唆した。
同社の決算は、米国の消費者が将来に自信を感じており、消費を続けていることを示すものとなり、市場には安心感が広がった。ビッグスCFOは「顧客の経済状況は底堅く、当社の競争力は引き続き強い」と語った。...
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米国の消費動向の指標とも言われるウォルマートが第2四半期(5-7月)の決算を発表した。既存店売上高は前年同期比2.8%増加となった。また下期の見通しも引き上げ、事業環境を楽観的に見ていることを示唆した。
同社の決算は、米国の消費者が将来に自信を感じており、消費を続けていることを示すものとなり、市場には安心感が広がった。ビッグスCFOは「顧客の経済状況は底堅く、当社の競争力は引き続き強い」と語った。同社をはじめとする郊外型の大規模小売店は、メイシーズやJCペニーといった競合他社に対してシェアを伸ばしている。14日、メイシーズは今年度の利益見通しを下方修正し、翌15日、JCペニーは売上が9%下落したことを発表していた。複数のアナリストは、ウォルマートとメイシーズ、JCペニーの決算の明暗が分かれたことについて、米国経済において幅広く需要が減少しているとは言えず、低成長にあえぐ小売企業は事業戦略を改善する必要がある、と指摘した。
中国からの輸入品に対する関税は米国小売業に大きな影響を与えているが、ウォルマートは商品売買の3分の2を米国内で行っているため、競合他社よりも影響を受けにくくなっている。複数のアナリストはまた、ウォルマートは収益の56%を食料品や食料雑貨の販売から得ており、この点からも同社は競合他社よりも関税問題の悪影響に対処しやすくなっている、と指摘した。ビッグスCFOは、関税のためにいくつかの商品を値上げしたが、コストアップ分すべてを価格に反映したわけではない、と語った。また、仕入れ業者との価格交渉や仕入れ先の変更も進めているとも述べた。
ウォルマートは店舗での売上を強化すると同時に、他社が苦戦するオンライン販売についても売上を増加させた。第2四半期のオンライン販売は37%増加した。同社は今年度のオンライン販売を35%増加させるとしている。同社は、低所得層や中所得層に対して安く便利な購入機会を提供することに投資を集中させている。また店舗の改装や社員の賃金改善にも資金を投じている。加えて、同社のウェブサイトのデザインを変更するとともに、アパレルのボノボスやモドクロスといった高所得者向けブランドも買収している。さらにアマゾンに対抗するため、インターネットで注文済みの生鮮食料品を店舗で受け取るサービスを拡大しており、また当日配送サービスも導入している。オンライン販売では、米国の人口の75%に翌日配送オプションを提供するという目標をすでに達成したという。マクミロンCEOは、ウォルマートが「オンライン販売をさらに拡大するよう取り組んでいる」と語った。翌日配送の対象品目を増加させることにも取り組んでいるという。マクミロンCEOはさらに「顧客の反応もいい。そして、配送回数を減らすことができるよう、顧客の近くに在庫を持つ取り組みも進めている」と述べた。
あるアナリストは「実店舗とネット販売の融合が小売りの将来の姿だ」とし、「ウォルマートはこの点で輝きを見せている」と述べた。ただ、ブランドの買収などはまだ利益につながっておらず、収益面ではまだ厳しい状況にあるとされる。しかしアマゾン追撃のために、ウォルマートはこれらの損失を必要悪とみなし、今後も取り組みを強化する模様だ。
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