シンガポールのリー・シェンロン首相は18日、現在62歳の定年年齢を徐々に引き上げ、最終的に2030年までに65歳とする方針を発表した。再雇用年齢についても同様に、現在の67歳までから70歳までに段階的に引き上げるとしている。
地元メディアのほか、
『ロイター通信』『ブルームバーグ』などが報じた。定年年齢は現在62歳だが、2022年に63歳とし、2030年までに65歳とする。シンガポールは平均寿命が85歳に迫る世界最長寿国であり、人口は600万人に満たないが、100歳以上の高齢者が1,300人もいる。従って、出生率が低下し、外国人労働者に対する規制があるなかで、同国では高齢者への依存度が高まっている。
リー首相は、「殆どの高齢者が実際、退職したいと思っていない。...
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地元メディアのほか、
『ロイター通信』『ブルームバーグ』などが報じた。定年年齢は現在62歳だが、2022年に63歳とし、2030年までに65歳とする。シンガポールは平均寿命が85歳に迫る世界最長寿国であり、人口は600万人に満たないが、100歳以上の高齢者が1,300人もいる。従って、出生率が低下し、外国人労働者に対する規制があるなかで、同国では高齢者への依存度が高まっている。
リー首相は、「殆どの高齢者が実際、退職したいと思っていない。我々はより長く健康で、長生きになっているが、退職者として長い年月を過ごしたくはない。また、我々の多くは、最終的に引退する際に備え、より多くの貯蓄をしたいと考えている。」と述べた。
シンガポールは、再雇用年齢についても同様に引き上げる。現在の再雇用法の下で、企業は対象となる従業員に67歳まで就業を継続する選択肢を提供するよう義務付けられている。この上限年齢を2022年には68歳に、最終的には2030年までに70歳とする。
リー首相は、公務員については、定年と再雇用年齢の引き上げを1年前倒しして、2021年から実施することを明らかにした。また、政府は企業の年金負担の増額などについて支援策を検討することとしており、具体的内容は来年の予算策定時に発表するという。
本方針は、同首相がシンガポールの独立を祝うナショナルデーの集会で演説し、政府の政策や優先事項について説明するなかで発表された。シンガポールでは今年、経済成長の減速化が予測されている。同国は先週、米中貿易戦争で打撃を被ることによる景気後退への懸念から、今年の通年の経済成長見通しを従来の1.5~2.5%から0~1%に引き下げた。
同首相は、米中関係の悪化が続けば、それはシンガポールにとって悪いニュースであると指摘した。そして、現在では至急の景気刺激策を取る必要はないが、もし状況がさらに厳しくなれば、政府は適切に介入し対応するとの考えを示した。首相は演説でこの他に、海面上昇や洪水への対応などの気候変動対策や、都市開発プロジェクト、教育助成金の増額などの諸問題についても説明した。
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